愛華みれさん 「人間が生きることは奇跡の連続」

 愛華みれさんは1985年入団第71期生。1999年〜2001年花組トップスター。愛称は「タモ」、「ロコ」。2008年3月21日、『リンパ腫』であることが明らかになり、公演予定の舞台ミュージカル「SEMPO」(吉川晃司主演)をキャンセルし、治療に専念することになった。
2008年8月1日に舞台復帰会見を行い。2008年8月6日のモーニング娘。と宝塚とのコラボ、新宿コマ劇場で「シンデレラtheミュージカル」にて復帰。シンデレラをいじめる継母役として好演し、モーニング娘。ファンを新たなファンとして獲得する。

 日本経済新聞2009年5月19日夕刊より。

 大平洋戦争前夜の東京・浅草のレコード店を舞台に、時代の波にのみ込まれていく人々の姿を描いた井上ひさし作の音楽劇 こまつ座&ホリプロ公演「きらめく星座〜昭和オデオン堂物語〜」(5月6日(水)〜5月24日(日)、天王洲銀河劇場 S席7,350円 A席6,300円 学生席4,200円(全席指定・税込))が上演されている。作:井上ひさし、演出:栗山民也。出演は愛華みれさん、阿部力前田亜季、久保酎吉、八十田勇一、後藤浩明、相島一之木場勝己 ほか。


   

あらすじ=昭和15(1940)年の浅草。小さな小さなレコード店に、4人の家族と、2人の間借人が仲良く暮らしていた。しかしこの平和なオデオン堂に大事件が起こる。陸軍に入隊していた長男の正一が、脱走したというのだ。「敵前逃亡」は重罰。すぐさま追手がかかって、憲兵伍長「蝮の権藤」がオデオン堂に乗り込んできた。  
 さらにもう1人、堅物の愛国主義者が家族に加わる。長女みさをが「ハガキの束から選んだ」夫、源次郎。この家の住人たちのジャズがかった音楽好きが、傷痍軍人の源次郎にはどうしても許しがたい。  
 こうしてオデオン堂には、ときならぬ大嵐がふきあれることとなる。 


 (愛華みれさんは)そのレコード店の若き後妻・ふじを熱演している。「つらくても笑ってなきゃやっていけないじゃないって人。私もそう。どうせ同じ時間なら嫌な顔をしてるより笑って、皆で痛みも幸せも半分っこして。すると何か前に進める気がする」。
 昨春、悪性リンパ腫を発症。「入院中にこの舞台の話をいただいたのが、何よりの特効薬だった」と明かす。
 「人間が生きることは奇跡の連続だ」というセリフを読んで号泣した。1400gの未熟児で生まれ、保育器が2つしかない病院に一度は断られたが、看護師さんが走ってきて『空きました』って。それは赤ちゃんが一人亡くなったということ」。
 それからも、宝塚に受かり、トップスターになって、がんが見つかり、それを克服し、この舞台に立っている。

 


 2009年1月には結婚も。「私は奇跡を信じている。そして台本が人生のバイブル。その時私に必要なものが台本で送られてきていると」。まっすぐ前を見据えたまなざしが力強かった。