今回のワールド・カップ 何が起こっても不思議ではない。

 ドイツが負け、アルゼンチン、スペイン、ポルトガルと強豪国が次々と姿を消している。試合はメディアや評論家がたたかうわけではなく、あくまでもチーム(選手・監督・スタッフそしてファン)がたたかうもの。ポーランド戦に違和感を覚えた人もいるだどろうけど、反則したのでもなく、ルールに従って正々堂々と3試合トータルの総力で勝ち抜いた結果です。だから僕は明日未明の試合 全力で応援したい。


日刊スポーツ

 ワールドカップ(W杯)H組第3戦、日本はポーランドに0−1で敗れたが、1点を追う終盤にパスを回して時間稼ぎする「安全策」を敢行。同時進行のセネガルがコロンビアに敗れたことで、今大会から採用されたフェアプレーポイントによる順位決定が初めて適用され、2位に滑り込んだ。


<H組3カ国監督のコメント>


 ▼3位敗退のセネガル・シセ監督 試合はコントロールしていた。前半に得点できていたら…。敗退するなら違う形が良かったが、仕方ない。警告数での敗退は大会のルールなので尊重する。


 ▼1位突破のコロンビア・ペケルマン監督(2位争いがフェアプレーポイントで決着したことに)「PK戦で敗れるのは厳しいが、これは明らかなルール。公平だ」


 ▼4位敗退のポーランド・ナバウカ監督 この試合に勝ちたいと思っていたので、1−0でも十分だった。日本も最後はそれを求めていた。ポーランドにとって、このW杯がマイナスになることは決してない。

22戦負けなしで、集中力も最大限。
 アジアから唯一勝ち上がってきた日本との対戦を、楽観的にとらえる見方は多い。ただ、彼らが気持ちを緩めるとは考えにくい。むしろ、ゲームの序盤から力を見せつけるような展開で点差を広げていき、結果的に余力を残すような形で終えたい、というのがベルギーの理想的なシナリオではないだろうか。

 「ほとんどの選手はキャリアのピークにある。我々は多くの経験を積んでおり、ワールドカップの決勝トーナメントのような重要な局面で、違いを見せることができる」

 こう語るのはエデン・アザールだ。このチームは'16年9月のスペイン戦を最後に22戦負けがない。代表の不敗記録を更新中である。1980年代の栄光を取り戻す黄金の好機が訪れているのだ。最大限の集中力で、日本戦に挑んでくるはずだ。

すべての部分でベルギーが上回るが。
 ならば、日本はどう戦うべきか。

 試合前日の公式会見に臨んだ西野監督は、「勝負は紙一重だと思う。ピッチのどこかに勝機が落ちていると思うので、それを全員で拾っていきたい」と話した。

 基本的な戦略は、これまでと変わらない。西野監督が続ける。

 「チームスタイル、個人のスタイルをすべて分析されているうえで戦う。両チームがそういう戦いになると思うし、ストロングはすべての部分でベルギーが上回ると思いますけれど、されどウィークポイントもたくさんあると感じています。日本のストロングを前面に出して、対抗していきたい」

 そのうえでポイントを3つあげたい。

 1つ目はリスタートだ。

 ポーランド戦の失点は、直接FKがきっかけだった。またしても、である。互いにスカウティングをしている前提に立てば、ベルギーはリスタートを得点機と考えるはずだ。セネガル戦から吉田麻也をストーン役にするなどの対策は練っているが、そもそも不要なファウルをしないことから改めて徹底していかなければならない。

スペインvs.ロシアを想起させる戦いを。
 2つ目はシステムである。

 コロンビア戦とセネガル戦では、西野監督の采配が試合を動かした。交代カードが見事に機能したが、意外性のある切りかたではない。タイミングはともかく、カードの選び方はオーソドックスである。

 交代カードの切りかたが重要なのは、ベルギー戦も変わらない。さらに加えて、システムもポイントになるのではないだろうか。ガーナ戦以降は手をつけていない3バックも含め、追いかける、逃げ切るといった試合展開に応じて、システムを変えていく必要がありそうだ。

 3つ目にはメンタリティがあげられる。

 たとえば同点のままで時間が推移していけば、気持ちがざわつくのは日本ではないだろう。リードを奪えずにゲームの終盤を迎えたら、ベルギーの選手たちは前日のスペインを思い出すに違いない。

 ロシアにPK戦まで持ち込まれて勝利を逃したライバルの姿が、頭のなかに浮かんでくるはずだ。

日本は失うもののない戦いである。
 ベルギーとは対照的に、日本は失うもののない戦いである。

 相手に押し込まれる時間はあるだろう。自陣にクギ付けにされることもあるかもしれない。それでも、自分たちにできることに、勇気を持ってトライしてほしいのだ。勝つための最善策に全員で取り組むことで、本気のベルギーに何が通用するのか、何が通用しないのかを体感してほしいのだ。

 FIFAランキング3位の“赤い悪魔”に、チャレンジャー精神で挑む。自分たちのプレー次第で、90分という時間はかけがえのない財産となる。それが、新しいページをめくることにつながる。

(「サッカー日本代表PRESS」戸塚啓 = 文)