俳優 大杉 漣 氏 逝く

 生前 大杉さんは 「俺の最後を見守ってくれるのは松重だ」と云っていたが、その通りに・・・心からご冥福をお祈りいたします。


日本経済新聞

 「長い人は30年以上の付き合いですから、なんだか部活みたい。でもこのドラマは、それでいいと思うんです」。遠藤憲一田口トモロヲ松重豊光石研とともに脇役俳優の日常をユーモラスに描く「バイプレイヤーズ 無人島朝ドラ編」(水曜午後9時54分、テレビ東京系)に出演中だ。昨年、深夜に放送した「シェアハウス編」は大きな話題を呼んだ。


 「撮影中は毎夜、飲み会。必ず割り勘」という俳優陣の仲の良さ。一方でプロ意識は高い。「いくら飲んでも翌朝には皆、セリフを完璧に覚えてきて、その上でいろいろな工夫(アドリブ)を加える。結果、各シーンが長くなって、一番困っているのは監督です」と笑う。


 テレビドラマや映画はもちろん、近年はバラエティー番組でも活躍するが、若い頃は「沈黙劇」と呼ばれる前衛劇の舞台に立っていた。この劇団が解散して、出合ったのが北野武監督の映画「ソナチネ」だ。「この撮影では、はっきりした台本もなく、監督に『突っ立ってて』といわれた。役者にとって、何もせずただそこにいることは難しい。それを追求したのが太田省吾さんの沈黙劇でしたから、若い日の経験を映画で生かせた。役者としての今後に明かりが見えました」


 「演じることは、生きること」と考える。「さよなら、ありがとう、というセリフにも、その人の普段の態度や『品』が表れますからね」。俳優としては「66歳の今もさまよっている」というが「現代人はネットの影響で、与えられることに慣れすぎている。でも面白いことは、手間をかけて自分で探さないと」と思う。「バイプレイヤーズ」はそんな、オジサンたちが面白いことを探した成果なのだろう。(おおすぎ・れん=俳優)

21日にお亡くなりになった俳優の大杉漣さんは、5日に日本経済新聞のインタビューに応じ、自らの演劇観を語りました。謹んでお悔やみ申し上げ、19日付夕刊の記事を再掲します。


スポニチ

 名脇役の突然の死は、所属事務所が午後8時半にホームページで発表した。目を疑った人も少なくなかったはずだ。テレビ東京のドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」の放送日にも重なっただけに、衝撃は余計に大きかった。


 本紙は大杉さんが20日も同ドラマに参加している様子を取材。いつもと変わらない様子だった。収録後に松重豊(55)ら共演者と夕食を共にし、ホテルの自室に戻ったところで腹痛に襲われた。


 出演者はグループLINEでつながっており、それを利用して大杉さんは「具合が悪い」と訴えた。異変に気付いた松重がタクシーで千葉県内の病院に連れて行った。手厚い治療が施されたが、容体は好転せず、臨終は松重の知らせを受けて病室に駆けつけた光石研(56)、田口トモロヲ(60)、遠藤憲一(56)がみとった。

スポーツ報知

 22日放送のTBS系「ビビット」(月〜金曜・前8時)で映画「ソナチネ」「HANA―BI」などに出演し、ドラマやバラエティーでも親しまれた俳優の大杉漣(おおすぎ・れん、本名・大杉孝=おおすぎ・たかし)さんがの訃報を特集した。


 大杉さんは21日午前3時53分、急性心不全のため死去した。66歳だった。20日は千葉県内で出演ドラマの収録に元気に参加。午後9時頃まで撮影を行った後に共演者らと食事。その後、ホテルの自室に戻り、激しい腹痛を訴えたという。同番組で共演する俳優・松重豊(55)に介抱されてタクシーで同県内の病院に搬送され、共演者やスタッフらにみとられながら息を引き取った。


 番組では2008年12月「はなまるマーケット」に出演した松重が大杉さんについて語る映像を放送。「大杉さんのおかげですごく雰囲気も良くなるし。映画の現場自体がスムーズに進むし。それでいて、大切なこともキチっと行ってくれるんですよね。だから本当にボクが映画好きになったのは大杉さんがいて、仕切ってくれていたからで。本当に尊敬する先輩だし。一緒に買い物に行ったら止まらないですし。なんかね、あういう先輩になりたいなって思ってこういう仕事続けてきたなっていうのはありますね」と明かしていた。


 放送時に大杉さんはビデオメッセージを寄せ、松重について「友人ではあるんだけど、いいライバルというんじゃいないですけど刺激しあえる。付き合ってくれるとお酒なんかも最後まできちっと付き合ってくれて。なんか最後の別れの時までその瞬間までちゃんといてくれるやつ。本当にいいやつなんですよ」と話していた。当時の話のように松重が最後の別れまで看取り、大杉さんは旅立っていった。