ウクライナ暫定政権の「危険な賭け」

NHK4月14日 5時16分

ウクライナ東部ではロシア系住民のデモ隊が州政府庁舎の占拠を続けるなか、新たに複数の都市で武装した集団による警察署への襲撃が相次いでおり、暫定政権は武装集団の強制排除に軍を投入する方針を発表し、緊張が高まっています。


ウクライナ東部では、ドネツクやルガンスクでロシア系住民のデモ隊が自治権の拡大を求めて州政府庁舎などの占拠を続けているほか、12日から13日にかけてドネツクから北におよそ100キロのスラビャンスクをはじめとする複数の都市で武装した集団による警察署などへの襲撃や占拠が相次ぎました。


これに対し、暫定政権はスラビャンスクに警察の特殊部隊を派遣して強制排除に乗り出しましたが、一部で武装集団との銃撃戦となり、少なくとも警察官1人が死亡、5人がけがをし、制圧には至りませんでした。


こうした事態を受けトゥルチノフ大統領代行は13日にテレビ演説を行い、「われわれは人的被害を避けるためあらゆる努力をしてきたが、武器を伴うテロ行為に対しては反撃する用意がある」と述べ、武装集団の強制排除に軍を投入して大規模な作戦を始める方針を発表しました。


そのうえでトゥルチノフ大統領代行は武装集団やデモ隊に対して、「月曜日の朝までに武器を置いて建物を明け渡せば罰しない」と呼びかけ、14日の午前9時(日本時間午後3時)までに投降するよう求める大統領令に署名しました。


東部での混乱が深まるなか、暫定政権が実力行使の構えを強めたことで、さらに衝突が激化するおそれもあり緊張が高まっています。