菅総理の「光明が見えてきた」発言はどうなった

3月21日(ブルームバーグ):東日本大震災で冷却機能が失われ放射性物質が漏れる事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所で21日、原子炉1−3号機の圧力容器外壁の温度が下がり始めた。海水注入の効果が出ている。菅直人首相は事故処理について「光明が見えてきた」との見解を示した。

東電が21日午後の記者会見で明らかにした。1号機では21日午前3時で385度と1日前に比べて15度低下、2号機は160度以下に下がった。東電原子力設備管理部の黒田光課長は1−3号機の圧力容器外壁の温度低下の背景について、海水注入の継続を示した。3号機は夕刻に煙が確認されたが、収まった。煙は続いて2号機で確認されている。

6機ある福島第一原発で1−3号機は原子炉への海水注入を続けている。4号機は20、21日と自衛隊が消防車で放水した。原子炉5、6号機は20日中に冷温停止している。原発冷却の取り組みが前進した安心感でアジア株はMSCIアジア太平洋指数(日本除く)が21日、上昇した。為替相場は1ドル=81円台の前半で推移している。

 菅首相は21日午後、今回の原発事故について「まだ危機的状況を脱したというところまでは行っていないが、脱する光明が見えてきたということは言える」と述べた。首相が危機脱出の可能性を指摘したのは初めて。この事故は過去の歴史的な原発事故に匹敵するとして「これ以上の被害を出さないところで食い止めていきたい」と述べた。