「小沢一郎」裁判の真実

 ブログ「日々坦々」より引用
 「なんでこれが犯罪なのか」 小沢弁護団 弘中惇一郎弁護氏

 検察審査会の議決によって民主党小沢一郎元代表が1月31日、政治資金規正法違反の罪で強制起訴されました。
私はこれまで、多くの事件を弁護してきましたが、なんでこれが刑事事件になるのか疑問を禁じ得ません。
起訴状にもあるとおり、これは小沢氏の政治資金管理団体が、04年10月29日に土地代金を支払ったにもかかわらず、取得年月日を所有権移転登記が行われた05年1月7日とした―という単なる「期ずれ」の問題に過ぎません。これは本当に刑事罰を科すべき犯罪なのでしょうか。
 そもそも、起訴状にある「取得」の解釈についても、代金を払い込んだ日を「取得」とするのか、登記した日とするのか、非常にあいまいです。

 新聞などの世論調査では、起訴されたからには「小沢氏は議員辞職や離党すべきだ」という意見が多いようですが、「日曜日に代金を支払った土地を、法務局が休みなので月曜日に移転登記をした場合に、月曜日に土地を取得したと書くことは犯罪なのか」と設問を変えて聞いてみてほしいですね。

 検察審査会の起訴議決をもって何らかの制裁を科す、という考えも非常に危険だと思います。検察審査会は、捜査をし直したわけでも、関係者から改めて事情を聴き直したわけでもなく、閉ざされた空間で、供述調書など、いわば検察の捜査の「影」だけを見て判断しているに過ぎないからです。

 さらに、私が弁護を担当した、村木厚子・元厚生労働省局長の冤罪事件でも明らかになったように、検察官のつくった供述調書というのは、被疑者や関係者の供述に基づいて、それをとりまとめたというようなものではありません。検察官が自らつくった事件のシナリオに都合の良いように、なんらかの意図をもって作成するものなのです。
思い返すと、小沢氏を巡る一連の騒動は09年3月、準大手ゼネコン「西松建設」から小沢氏側に違法な献金があったとして、小沢氏の秘書だった大久保隆規氏が逮捕されたことに始まります。当時、小沢氏が民主党代表だったことから、これは政権交代を阻むための民主党潰しではないか―と批判されました。村木さんの事件でも、検察は民主党副代表だった石井一氏の立件に執心していました。

 これほど長きにわたって、検察が小沢氏をターゲットにしてきたことを考えると、検察は、検察審査会が強制起訴するところ、つまり今日のこの状況まで想定していたのではないかと考えるべきなのではないでしょうか。
検察は、大久保氏や石川知裕衆院議員らの政治資金規正法違反事件の裁判で、犯行の動機や背景事情として「ゼネコンから小沢氏側に1億円の裏ガネが渡った」ことを立証すると主張しています。
しかし、本当にそれが事実ならば、なぜそちらで立件せず、政治資金収支報告書の虚偽記載という形式的な罪で起訴したのか。結局、これも小沢氏のイメージダウンをはかるための?化粧道具?に過ぎないのです。非常にいかがわしい手法だと思いますね。

 今回は一見、検察に代わって検察審査会という「市民」が当事者となり、小沢氏を起訴したかのように見えますが、実は、小沢氏と検察の戦いが続いているだけなのです。


 東京新聞より引用

 小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体陸山会」の土地取引をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた衆院議員石川知裕(37)、大久保隆規(49)、池田光智(33)の元秘書三被告の初公判は、東京地裁(登石郁朗裁判長)で七日午後も引き続き行われた。弁護側は石川被告の供述調書について「検事は『自供しなければ別の秘書の逮捕もありうる』と、どう喝して署名させた」と主張した。

 検察側は今後予定されている取り調べ担当検事四人の証人尋問で、取り調べが正当なものだったと主張する構えで、調書の任意性や信用性をめぐり激しい攻防が予想される。

 弁護側は冒頭陳述で「検察側は独自にストーリーを創作して、小沢元代表からの借り入れを隠蔽(いんぺい)する目的があったと、執拗(しつよう)に迫った」と指摘、「石川被告は恐怖と絶望感から調書に署名した」と述べた。

 土地購入費に充てた四億円については「石川被告が小沢元代表から借り入れる際に『この金は純粋な個人資産だから、間違いなく返済するように』と念押しされた」と繰り返し、元代表の相続遺産などだったと説明。「四億円の由来について、三被告や小沢元代表は合理的な説明をしていない」という検察側主張に反論した。