惜しいはいりません デンマーク戦には


 なんだか中身(メンバー)は変わってないのに、支持率がV字回復したK政権のように、カメルーンに勝利(これは大変うれしかった)したO監督ひきいるジャパン代表も人気(予期しないほどカメルーン戦の視聴率が良かった影響)が急上昇した。オランダ戦は確かにカメルーン戦よりも良かったが、前半のジャパンの攻守がよくてオランダが攻めきれなかったのに、後半に入ると俄然としてオランダが攻め込んできた。結果論だが、ジャパンは選手交代して、(私は本田選手に替えて森本選手がいいと思う)闘う姿勢と行動をオランダに示すべきだった。カメルーンの成功例が今回はアダになった気がします(選手もコーチもスタッフも一生懸命なのはもちろん理解しています)。

 さて、つぎのデンマーク戦は、お互いに実力がわかったうえでのガチンコ戦になります。敵が予測しない戦術・選手起用が大事じゃないでしょうか?当然に堅守速攻は堅持すべきでしょうが。1日でも長く(マスコミと商売屋さんは除きたい)ファンや私のようなにわかファンを楽しませてほしいので「惜敗」はいりません。

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オランダ戦で見えた日本のリアル
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki


 6月19日。ヨハネスブルグのオ・タンボ空港の持ち物検査で、黒人の青年が気さくに話しかけてきた。

「おまえらは日本人か? 今日はどこが相手だ? 」

 国中W杯一色、元々が能天気なところのある南アフリカ人は誰にでも気軽に話しかける。こちらも2週間近く過ごすと、すっかりそのやりとりに慣れた。

「今日は厳しい。強敵オランダだから。まあ、ファイトしてくれればいいよ」

 軽口で返すと、青年は少し怪訝(けげん)な表情を浮かべて言った。


「おい、ボールは丸いんだぞ。何が起こるかわからない。何も考えず、転がる球を思いっきりキックしちまえばいいんだよ」

 日本人は悲愴美に耽溺(たんでき)する傾向が非常に強い。華々しく最後を飾るような戦いを愛し、勝敗の前に“散り際”を語る。

 その感覚は日本固有のものではないが、独特のものと言えなくもない。ヨーロッパ人は隣接する各国と矛を交えてきた歴史が長いだけに、勝負に負けることに対して感傷を抱くより、怒りと恐怖を覚えるという。敗者は搾取される側に回るからだ。

 一方、歴史を振り返ってみても、日本人は自分を弱いものだと認識せず、勝てもしない相手に無謀な戦いを挑むという気質も持っている。冷静な分析から目を背け、「思い込み」だけで突き進んでいく。

「ベスト4を狙う」

 日本代表の岡田武史監督の掲げた目標はその一例であり、著しくリアリズムを欠いていた。

 しかし、驚いたことにカメルーン戦で勝利するや、国内における評価はにわかに高まっているのだという。選手たちは指揮官の言葉を信じ、身命をなげうつようなプレイを見せたのは事実だが、浮かれ気分に浸るほど日本の戦力が高くないことも明らかだった。

「このままでは勝ち抜くことはできない」。多くの選手が反省を口にし、現状を語る姿は救いだった。

 対外的な戦いでしか、「日本らしさ」は知り得ない。そうだとすれば、この日、相手をするオランダは、日本の本性を映し出してくれるはずだった。

 結果から言えば、日本はオランダを相手に0-1で敗れた。

 彼らは“健闘”したと言えるかもしれない。オランダを上回る10本ものシュートを放っているし、終了間際に岡崎が放ったシュートは決定的だった。終盤はオランダをガード一辺倒にまで追い込んだ。

 しかし、ゴールは遠かった。

「日本の組織力は素晴らしい。彼らが果敢に挑んできたことで、我々は敵陣深くまで攻め込むことができず、いたずらにパスを回すだけ。ボールを失うことを恐れてしまった」

 オランダのファン・マルバイク監督は試合後の記者会見で敗者を称えているが、彼は続けて自分たちの出来が悪すぎたことに、顔をしかめた。

「ハーフタイムに、“攻撃のリズムを上げろ”と指示をしたおかげで、先制点を奪うことができた。しかし、先制点を奪うまでの我々はあまり見たことがないほど最悪の出来だった。さらに、リードするとまたもプレイがスローになり、最後の25分もたいしたチャンスが作れず、苦しんだ」

 この日、日本はオランダの良さを消すことで優位に立った。チーム全体で相手のプレイするスペースを消し、強引な攻めには辛抱強い人海戦術で守り、隙を見ては奇襲で敵を脅かした。

 前半、日本は立ち上がりにスナイデル、カイトにあわやの好機を作られたものの、逆襲から長友、本田、闘莉王、松井らがシュートを放つなど、指揮官のプラン通りの試合運びだったと言える。

 しかし、後半23分にスナイデルが決勝点を記録するまでの数分間、オランダは日本に世界の強豪との果てしない距離を突きつけてきた。

 オランダは選手全員の走る量が増え、ボール回しの速度が上がると、凄まじい波状攻撃を展開している。必死に守る日本をあざ笑うかのように、サイドバックが果敢に攻撃参加し、脇をえぐるような攻撃を繰り返すと、選手全員がゴールに向かって連動する。

 得点は自然発生的に生まれた。闘莉王が必死にクリアしたボールをファン・ペルシがつなぎ、落としたボールをスナイデルが強烈なミドルを叩き込んだ。

 日本はその後、大久保は立て続けに3本のシュートを放ち、反撃を見せた。サイドから惜しいボールが入るシーンもあったし、繰り返すが、闘莉王がヘッドでつないだボールに走り込んだ岡崎のシュートは入ってもおかしくはなかった。しかし、どれもネットは揺らしていない。

 選手たちは労を惜しまずに走り回り、敵の進撃に踏みとどまって戦う姿を見せたが、どこか脆さを抱え、“相手を討ち取る”迫力を欠いた。

 闘莉王は、「相手のシュートが凄かった。オランダは1回のチャンスで点を取っている。でも、日本はシュートが入らなかった。相手の方が一枚上だったと思う」と証言した。

 一方で岡田監督は、「(1点差の敗戦は)日本がなかなか乗り越えられないひとつの壁だ。何かひとつが敗因、と言うのではない。球際だったり、ポゼッションだったり、全体の差だと思う」と分析した。

 敗将はオランダと日本の戦力を見極め、現実的で効率的な戦いを選択した。それは、勝つためには当然の最善の策だったのかもしれない。選手たちは奮闘し、チームとしてはおそらくベストに近い出来だった。

 だがそれでも日本は敗れた。それがリアルだ。選手が全力をなげうって戦う姿は美しかったが、ヒロイズムに逃げるだけでは前に進むことはできない。

「選手は全力を尽くしてくれたけど、一歩及ばなかった。デンマーク戦に向け、最高の試合ができるように準備したい」

 6月24日、日本は決勝トーナメント進出を賭けて北欧の雄と戦う。それは日本サッカーの未来を占う決戦になるのか。むき出しの本性を、ルステンブルクで。