はじめての宝塚


日本経済新聞2010年1月1日を採録、構成。

 100年近い歴史(1913年(大正2年)7月- 宝塚唱歌隊(この年の12月に宝塚少女歌劇養成会に改称)を組織。1914年(大正3年)3月 - 宝塚新温泉余興場において上演開始。公演演目は『ドンブラコ』ほか3本立て)を誇り、世界で唯一、女性だけで編成された劇団である宝塚歌劇団。関西では春の合格発表やトップスターの引退など話題となる機会が多いが、観劇経験がない人には敷居が高いと思わせるところもある。同歌劇団の小林公一理事長に「初めての夕カラゾカ」を指南してもらった。

 数ある上演のうち、どれを見たらいいのか。小林さんは「まずは宝塚大劇場に足を運んでほしい」という。宝塚歌劇団は花、月、雪、星、宙の5つの組に分かれて、拠点も宝塚大劇場兵庫県宝塚市)、東京宝塚劇場(東京都千代田区有楽町)や、宝塚バウホール宝塚大劇場に隣接)、梅田芸術劇場メインホール、シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町)などがある。

 それらの中心が宝塚大劇場だ。 


基本的にオリジナルの新作を約1カ月ごとに年間10本、各組が年2回ずつ公演する。公演は約1時間半の芝居と1時間のショーで構成することが多い。

 演目はミュージカルから現代劇と様々で、背景となる時代や国も古代中国から中世ヨーロッパ、現代日本古今東西を網羅する。例えば宝塚大劇場の1月公演は「ハプスブルクの宝剣」。18世紀前半のヨーロッパを舞台に才気あふれる青年の生涯を描いた藤本ひとみさんの同名小説が題材となっている。2月公演の「ソルフェリーノの夜明け」は赤十字創始者の生涯を題材にしたミュージカル。3月公演の「虞美人」は項羽と虞美人の悲恋を描くといった具合だ。小林さんは「興味がある演目を選んでもらえれば」という。

テレビドラマや映画では女性が男性を演じたり、外国人役を日本人が演じたりすると違和感を覚えることもあるが、宝塚では「すべてが虚構の世界だから、見る方も入り込みやすい」。観劇する際、「一人ひとりのスターの活躍と同時に、(劇団員=生徒)80人が一心不乱に舞台に立つ集団の力を感じてほしい」。

 各組には男役と娘役で一人ずつトップスターと呼ばれる看板(主演)俳優がいる。ハプスブルクの宝剣(動画)を演じる星組のトップは男役の柚希礼音(ゆずき・れおん)さんと娘役の夢咲(ゆめさき)ねねさん。
     
     


 小林さんは「(柚希さんの)踊れるトップスターとして切れのあるダンスに着目してもらうと同時に、舞台全体の完成度も見てほしいとアドバイスする。「2度目以降は、気に入った一人の俳優を見守っていくなど色々な見方がある」と小林さん。


 全劇団員が紹介された書籍やスターの写真集など関連商品も充実しており、それぞれの興味に合わせた楽しみ方ができる。何度か観劇して興味がわいたら、バウホール

やシアター・ドラマシティなどの小劇場に足を延ばすのもいい。大劇場ではできない実験的な作品や若手が主役の演目などを上演している。最近ではテレビドラマを劇にした「相棒」などを上演した。会場も大劇場の半分程度で出演者も30人程度のため、 一人ひとりの活躍を身近に楽しむことができる」。

 より深く楽しむには「宝塚友の会」に入会するのも一案だ。チケットの先行発売や出演者のトークショーといった会員限定イベントに参加できるほか、指定公演の割引といった特典も受けられる。
 俳優には私設ファンクラブがあることも多く、特定の俳優に関心があるならファンクラブに加入するのもいいだろう。チケットは劇場で購入する以外にも電話、インターネットなど広く入手できる。貸し切り公演を除けば当日券は必ず用意されている。小林さんも「あきらめずに探してもらえれば」という。2月11日には男女ペアで来場すれば割引やお土産が付くイベントも開催予定(終了)。今年こそ、関西を代表する文化ともいえるタカラヅカに「デビュー」してみてはどうだろう。(大阪経済部 堤正治氏)

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