[星組] [宙組] 去り行く生徒さんに 感動をありがとうと言いたい

 宝塚歌劇団は4月5日に、星組退団者を、6日に、宙組退団者を発表しました

 星組  本城(ほんじょう)くれはさん :2006年入団第92期生 男役
       自百合(しらゆり)ひめさん :2006年入団第92期生 娘役 大阪出身
     2010年5月31日(星組東京特別公演千秋楽)付で退団     
     宝塚バウホール公演 公演期間:5月7日(金)〜5月18日(火)
     日本青年館大ホール公演 公演期間:5月24日(月)〜5月31日(月)
     バウ・ミュージカル『リラの壁の囚人たち』作/小原弘稔氏 演出/中村一徳氏
     本城くれはさん=マルセル・モレッテイ 白百合ひめさん=ノルマ

宙組 花影(はなかげ)アリスさん  :2002年入団第88期生 娘役 大阪出身で在団中の7月12日が誕生日
舞姫(まいき)あゆみさん:2003年入団第89期生  在団中の5月10日が誕生日  千紗(ちさ)れいなさん:2006年入団第92期生 娘役 在団中の6月4日が誕生日 
     2010年8月8日(宙組東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団
     宝塚大劇場公演 公演期間:5月21日(金)〜6月21日(月)
     東京宝塚劇場公演 公演期間:7月9日(金)〜8月8日(日)
     グラン・ステージ『TRAFALGAR(トラファルガー)』−ネルソン、その愛と奇跡−
     作・演出/齋藤吉正氏
     花影アリスさん=ファニー 舞姫あゆみさん=テレーザ


 宝塚歌劇支局100327より

 宙組期待のホープ凪七瑠海(なぎな・るみ)さんを中心にしたバウ・ミュージカル「Je Chanteー終わりなき喝采ー」(原田諒氏作、演出)が29日まで宝塚バウホールで上演中だ。

 月組公演「エリザべート」にタイトルロールで特別出演、宙組復帰後も「カサブランカ」新人公演でリック役を演じるなど劇団の金のたまご的存在になった凪七のバウ初主演作。

 20世紀フランスの国民的歌手者シャルル・トレネの若き日を描いた原田氏のデビュー作。ナチスの侵攻迫り来るパリを舞台に、時代が求める新しいシャンソンを追い続けたシャルルとその恋人ジジのたどるドラマチックな運命を描いている。

 このところわけの分からない頭でっかちな作品ばかりを連発する若手作家のなかで、久々に宝塚らしい素材をデビュー作に選んだ原田氏にまず喝采を送りたい。

 舞台も懐かしいパリを舞台に、大女優ミスタンゲット(美穂圭子=みほ・けいこ=さん)主演の映画の撮影風景から華やかに始まる。いきなり「サ・セ・パリ」など聞き慣れたシャンソンが次々に登場していかにも宝塚レビューだ。

 とまあ、ここまではいいのだが、シャルル・トレネという歌手自体に舞台化するとあまり面白いエピソードがなく(本当はあるのだが宝塚では使えない)売り出し当時のプロフィルの羅列になってしまっているのがまず弱い。そこで恋人役に架空の女性ジジ(花影アリスさん)を登場させたのはひとつのアイデアだったが、こちらの役をふくらませすぎてシャルルがどこかへ行ってしまった。

 花影さんが、ジジという女性を前半を勝ち気だが、可憐に愛らしく、後半はミスタンゲットに代わる大女優を堂々たる貫禄で演じぬき、これまでの娘役生活の集大成を思わせる適役好演ぶりを示したこともあって、それが顕著になった。それにしてもこの花影さんは吹っ切れたように素晴らしい。

 一方、肝心の凪七さんは明るくさわやかな青年としてのシャルル像を好演したが、男役の声というにはちょっとトーンが高く、随分ソンをしているように見受けられた。

 とはいえ、第一幕の雨宿りの場面から「ラ・メール」のデュエットダンスなどロマンチックなムード満点。2幕の幕開けの花影さんを中心とした華やかなレビューシーンもあり、バウとは思えないぜいたくで豪華な舞台はなかなか楽しめた。

 ナチ将校役の春風弥里(はるかぜ・みさと)さんの男役としての押し出しの強さもさすが。春風さんはフィナーレの燕尾服のダンスでもセンターを踊り、本領を発揮した。

 ジョニー役の凰樹(ほうじゅ)いちさん、ニーナ役のすみれ乃麗(すみれの・れい)さんも印象に残った。専科の美穂さん、そして磯野千尋(いその・ちひろ)さんもしっかりとワキを固め作品に厚みを加えていた。東京公演がないのが残念だ。