新人公演「ミュージカル 虞美人 −新たなる伝説ー」を観てきました。(その3)


 新人公演プログラムより引用

 鳳真由(おおとり・まゆ:2005年入団第91期生・研5) 項羽(こうう:楚の武将 覇王)

 新人公演の配役が発表になった時は、驚きと不安で一杯でしたが、少しずつ時間が経つにつれ、このような機会を与えて頂き光栄だと思う気持ちや喜びが込み上げてきました。項羽の台詞に、「私はこれまで誰も裏切らなかった。人の裏もかかなかった」とあるように、項羽は自分の信じる道を歩み、その人生に誇りを持っているように感じます。最期に幸せな人生だったと思える生き方の出来た項羽は、とても魅力的で、素敵な人物だと思います。まずは、根っからの武人である項羽の心情を理解していくことから始めて、より項羽らしく描くためにはどのようにすればよいのか、きちんと自分なりの見せ方を研究していけたらと考えています。

 歌で役の感情を表現していくところも多いので、項羽の気持ちをしっかりとお届け出来るように歌いたいです。マグノリア・コンサートに出演させて頂いた経験も活かしつつ、努力を重ねていきたいと思います。お稽古場で真飛聖(まとぶ・せい 項羽=本役)さんを拝見していると、立ち姿や仕事の一つ一つが項羽そのもので、衣装やその時代の風景が浮かび上がってくるようです。私も物語の空気を創り出せるように、真飛さんから多くのことを学ばせて頂きたいと思っています。天咲千華(あまさき・ちはな 虞姫=虞美人)と組んでお芝居をするのは初めてですが、学年も近いので、お互いに信頼しつつ正面から向き合っていけたらと思います。まだまだ至らない点もありますが、自分の責任をきちんと果たせるよう、そして、周りの皆と力を合わせて良い舞台を創り上げられるように、精一杯頑張ります。


 天咲千華(あまさき・ちはな:2006年入団第92期生・研4)虞姫=虞美人(ぐびじん)
 
 桜乃彩音(さくらの・あやね 虞姫=本役)さんの宝塚最後の役をさせて頂けることを幸せに感じていると同時に、責任を持って大切に演じていかなくてはと思っています。初めて台本を読んだ時、虞美人は母性を感じさせる、温かくてやさしさに溢れる人物だと思いました。愛する項羽のために、どんな戦地にでもついていくところや、彼のことを考えて自らの命を絶つようなところに、繊細さに加えて強さも持ち合わせている虞美人の魅力を感じます。お稽古場で桜乃さんを拝見している時に感じる、穏やかな雰囲気、やさしくて綺麗な声のトーン、全てが虞美人のイメージそのもので…私にそのようなものが出せるのかという不安はありますが、普段の生活から意識の持ち方や雰囲気を変えていき、少しでも役に近付ければと思っています。そして、姿勢や歩き方、衣装の扱い方等をはじめ、桜乃さんから沢山のことを勉強させて頂き、自分なりの虞美人像を創り上げていけるようお稽古に励みたいと思います。 
 また、相手役の鳳真由(おおとり・まゆ)さんを尊敬する思いを、虞美人の項羽に対する気持ちにシンクロさせていき、自分の感じたものを素直に表現出来ればと考えています。鳳さんの足を引っ張らないよう、しっかりとついていきたいと思います。未熟な点も多いですが、課題を一つずつ確実にクリアしていけるよう精一杯頑張りますので、見守って頂ければ嬉しいです。

 『第3回 マグノリア・コンサート・ドゥ・タカラヅカ』【開催日時】・2010年1月23日(土)16:00開演(15:30開場)・2010年1月24日(日)13:00開演
 【出演者】(花組)鳳真由さん、真瀬(まなせ)はるかさん=第92期生、仙名彩世(せんな・あやせ)さん=2008年入団第94期生(首席卒業) 【場所】新・逸翁美術館内「マグノリアホール」(大阪府池田市栄本町12−27)
TAKARAZUKA SKY STAGE 放送= 2010年04月/ 05(02:00)、06(13:00) です。


 鳳真由さんの演技は、真剣そのもので立派でした。ただ(笑)カーテンコールでのあいさつは、緊張の極みで会場は大爆笑、でもそれでいいんだと思った。これからが勝負なのだから、ここらあたりで天狗になってはいけない。今後も応援していきます。


プレシャス!宝塚(3/29日刊スポーツ記者・土谷美樹氏)より

 花組の若手男役・鳳真由さんが3月30日、宝塚大劇場で行われるミュージカル「虞美人」新人公演の初主役に抜てきされた。伸び盛りの入団5年目。おおらかな雰囲気と的確な演技力が魅力のスター候補生だ。春日野八千代(かすがの・やちよ)さん、鳳蘭(おおとり・らん)さんと歴代の大スターも演じてきた中国の武将・項羽を、祖母の代からタカラヅカファンで「私もおなかにいる時からファンだった」という鳳さんがどう演じるのか。若い力の爆発力に期待は高まる。


 あとは本番を待つだけだ。思えば初主演が決まってから心の中ではさまざまな葛藤(かっとう)があった。「最初は不安と恐怖に襲われて。でも直後に真飛聖(まとぶ・せい)さん始めいろんな主役の方が浮かんできて“私もああいうことができるんだぁ”ってうれしい気持ちになったり…」。鳳さんは少女のように目を輝かせた。大劇場の大きな空間に1人立つ責任感を思うと、まだ見ぬ感覚に頭がフラフラした。一方で真飛さんらが写るポスターを目にすると「私もあんな衣装が着られるのかな?」と思ってはドキドキしたり。うれしさと不安が常に同居していた。

     鳳真由さん



 祖母の代からタカラヅカファンで「私もきっと、おなかにいる時からファンだったと思う」と言うほど、筋金入りのファン。その祖母が鳳蘭さんと旧知の間柄でもあったことから芸名に「」の1文字をもらった。その鳳蘭さんも36年前、星組トップスター時代にこの役を演じた。不思議な縁だ。「この芸名に恥じないように頑張らないと」。いつもそう、心に誓っている。その祖母は、今回の吉報に泣いて喜んでくれたという。


 「これほど歴史に残る作品ですし、その中で主役をさせていただくのは大変なこと」と恐縮しきりだが、「一生懸命やろう! という気持ちだけは負けたくない」と体当たりでの熱演を誓う。「やろう! という気持ちが前に出るのと、どうしよう? って思いながらやるのとでは大きく差が出ると思う。強い気持ちさえ持続していれば何かが伝わるはず。私も客席にいる時は、前に向かって一生懸命やってる人に心打たれるので。具体的なことはもう想像の世界なので精神力で頑張ります。だって“どうしよう?”って思ってる時間すらもったいない」と切実だ。


 昨年1月「太王四神記」の新人公演では、準トップ役のヨン・ホゲを熱演。主演・タムドク(望海風斗(のぞみ・ふうと)さん)の無二の親友からやがて敵役になる姿を丁寧に演じた。9月「外伝ベルサイユのばら アンドレ編」の新人公演ではフェルゼンを好演。出番はわずかだったが、貴公子らしい気品を漂わせ存在感を示した。今回の本公演でも実在の人物で劉邦の臣下・曹参を熱演。出番の多少にかかわらず、常にどこか印象に残る舞台人だ。


 入団5年目と、男役としてはまだまだ伸び盛り。「今までもいろんなチャンスをいただいて、それに向かうことに必死でした。でも、今だってぶつかっていく姿勢は崩したくない。私は窮地に追い込むことが必要なタイプ。今回も追い込みます」と笑った。いろんな可能性を秘めた若手スターの誕生に期待は膨らむばかりだ。

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