絹の靴下制作発表2


 タカラヅカ時代は、トップスターのなかでも「男らしさ」で定評のあった湖月さんだが、女優となってからの印象の変化を問われた荻田氏は、「あまり変わらないですよ」と、あっさり。「今でも大きいし、ガンガン踊ってるし…。でも、内面はとても女性的な気遣いができる人なんです。素のおおらかさと愛らしさの両面が、ニノチカ役にうまく反映されればいいですね」という。

 タカラヅカ時代から湖月さんの舞台を観ていたし、卒業後に湖月さんが外の舞台に立つようになってからは「楽屋で差し入れを分け合ったりもしていた」という今村も、「舞台では、色でいうなら黒かモノトーン系のイメージだけど、普段は女性っぽいし、可愛い。そのギャップが面白い」。二人の言葉を受けた湖月さんは、「私のことを知り尽くしている男性の言葉を信じて、ニノチカ役に飛び込んでいきたい」という。

 舞台版ではカットされてきた映画版の名シーン、ニノチカが初めて「制服」を一枚一枚脱ぎ捨てて、柔らかいドレス、そして「絹の靴下」を身につけて踊る場面が再現されるのも見どころのひとつ。「タカラヅカを退団してから、初めてスカートをはいたときや、初めてネイルサロンに行ったとき、『こんなにも気持ちが変わるものなんだ!』と驚きました。この体験はニノチカの役作りにもきっと生かせるはず」という湖月さんが、この名場面をいかにダイナミックかつ繊細に演じてくれるか。

 ちなみに、湖月さんと今村は同じ身長175センチ。だが、湖月さんがヒールのある靴をはくと今村より背が高くなる。そこで今村「上から目線ですよね」、湖月さん「背が高いだけですよー!」。また、以前パリに一人旅をしたことがあるという今村に対して、湖月さん「ええっ、どうしてひとりで?」、今村「自分を見つめ直したかったんです…」。すでに夫婦漫才さながらのやりとりを展開する2人。演出の荻田氏は「そんな2人の質感の違いが、どこかでハーモニーを奏でるはず。面白くて、楽しい関係にしていきたい」という。