自民党は審議拒否より経済・景気対策を


カナロコ」より

 自民党衆院での審議欠席戦術は、わずか3日間で取りやめになった。小沢一郎民主党幹事長の証人喚問実施などを掲げたものの、他の野党の協力もない中では「数の力で強行突破する民主党」(自民党閣僚経験者)には効果ゼロ。攻勢をかけきれない自民党執行部に、党内からも「三日坊主」などと批判が噴き出している。


 公明などとの足並みがそろわない中で始まった審議拒否戦術に対し、自民内では開始後から疑問の声が上がっていた。


 河野太郎氏(衆院15区)ら若手・中堅議員に加え、とりわけ声高だったのが参院議員。自民の参院幹部は会見などで「政府・与党で小沢幹事長へ鈴をつけられる人間はいない。ましてや野党からボールを投げたって相手にされるわけがない」と明言。夏に改選を迎える議員は「せっかく長崎知事選や町田市長選で勢いを得たのに逆風が吹きだしかねない。最大野党であっても一人旅では国民の理解を得にくい。三日坊主などと批判されようが早く出口を探さないとまずい」と懸念を隠さなかった。


 24日には参院の各調査会で参考人を招いての勉強会が開かれたが、自民議員は「欠席しては招致した参考人に失礼にあたる」などを理由に出席。こうした党内の雰囲気に、衆院での審議復帰も時間の問題とみられていた。


 審議復帰を決定した25日には高校授業料無償化の法案審議と、予算を詳細に審議する予算委員会分科会の開会が決まっていた。田中和徳氏(比例南関東)は本会議場に向かいながら、「もっと長く拒否するべきだという人もいるが、予算の個所付けなどの審議がある。地域の問題について話し合うため、どこかで戻らなければならない」と苦しい立場を説明した。


 審議復帰のきっかけとして自民党が同日提案した、衆院議長不信任決議案、議院運営委員長解任決議案はいずれも与党の怒号の中で否決され、3日間の抵抗は終了した。その後で法案の趣旨説明など本格的な議論に入ったため審議は深夜に及び、議員らは疲れ果てた様子。混乱ぶりに民主党首藤信彦氏(7区)は、「抗議するならするできちんとやるべきだ。まだ『けんか』のやり方が分からないのではないか」とあきれていた。