ベルばらフォーラム


 宝塚歌劇団最大のヒット作「ベルサイユのばら」が初演から35年目を迎えるのを記念し11日、東京・日比谷の東京宝塚劇場日本演劇協会主催のフォーラムが開かれた。歴代オスカルと、現在上演中の「ベルばら(『外伝ベルサイユのばらアンドレ編−』)」に出演中の花組キャストも参加し、豪華な作品にふさわしい集まりとなった。


 1部ではフランス革命を扱った劇画の原作者である池田理代子さん、演出家の植田紳爾さんが舞台化にまつわる思い出を披露。この作品の功績で今年、仏レジオン・ドヌール勲章を受章した池田さんは、「友人の作家、林真理子さんが『宝塚とベルばらは幸せな結婚をした』とおっしゃってくださったが、そうかと思う」と語り、植田さんも昭和49年の初演時を振り返り、「劇画ファンからイメージが違うと言われ、大変だった。靴やカツラも今と違ってお粗末で、日本も豊かになった」と感慨深げだった。

 続いてかつて男装の麗人、オスカルを演じた榛名由梨(はるな・ゆり)さん、汀(みぎわ)夏子さん、紫苑(しおん)ゆうさん、朝海(あさみ)ひかるさんが勢ぞろい。初代オスカルの榛名さんは、「原作のイメージを壊してはいけないから、最初は怖かったですが、だんだん(客席が)好意的な感じになった」と思い出を語り、2代目オスカルの汀さんは「長谷川一夫さんの演出は形を大事にするので、苦しい姿勢でラブシーンをした」と楽しそうに語った。
 また初演のベルばらの舞台を見て宝塚にあこがれ、平成2年にオスカルを演じた紫苑さんは「夢がかなうとはこのことかと思った」と再演時の喜びを語り、朝海さんも「毎日が戦いの日々でした」と話した。

 歴代オスカルらは、トレードマークの金髪縦ロールのカツラが、ダンスシーンでは汗で顔にくっついたり、ストレートになるなど、オスカル役ならではの苦労を語り合った。


 一方、第2部では現在、東京宝塚劇場でベルばら(『外伝ベルサイユのばらアンドレ編−』)に出演中の真飛聖(まとぶ・せい)さん、桜乃彩音(さくらの・あやね)さん、壮一帆(そう・かずほ)さん、愛音羽麗(あいね・はれい)さんが出席。花組トップスターの真飛さんが「コスチュームもの独特のせりふの間や、歌うように言うのは、ベルばらの世界ですね」と話し、娘役トップの桜乃さんは「宝塚といえばベルばらですから、すごく幸せ」と出演を心から喜んでいる様子だった。また壮さんは「10年20年経っても大切に読みたい作品」と原作の魅力を語り、念願のオスカル役を演じる愛音さんは「毎日、幸せです」と喜びをかみしめていた。


左から宝塚歌劇団花組の愛音羽麗さん、桜乃彩音さん、真飛聖さん、壮一帆さん=東京・日比谷の東京宝塚劇場