リサイタル「True Love」評(宝塚歌劇支局より)

 退団後15年、元星組トップだった紫苑ゆうさんが10年ぶりにリサイタル「True Love」(谷正純構成、演出)を宝塚バウホールで開いた。3分間で5日間の公演全席が完売したという異常人気で、初日には安寿ミラさん(振付スタッフの1人)、真矢みきさん、南風まいさん、白城あやかさんらも駆けつけるなど、客席の熱気は尋常ではなかった。

 舞台面は、霧に煙る幻想的な墓地に「伝説」の男(紫苑さん)がさっそうと登場、「うたかたの恋」や「蒼いくちづけ」など紫苑さんの在団時代のさまざまなヒット曲や「エリザベート」の主題歌などを歌い継いでいく。名脇役だった未央一さんが墓堀役で共演、墓から夢を掘り起こすという形で場面をつないでいく趣向が楽しい。

 登場シーンの熱い拍手はじめヒット曲のイントロが流れるたびに起こるどよめきと拍手、さらに極めつけは「紫苑さん!」という感極まったかけ声。もはや紫苑信者の集まりそのもの。紫苑さん本人はクールなかっこよさは在団当時そのまま、ひょうきんな人柄はさらに輪を掛け、そのギャップで客席をおおいに沸かせ、円熟したエンターテナーぶりを見せつけていた。