白羽ゆりさんロングインタビュー

 ―そんな白羽さんにとっては、宝塚はやっぱり楽しい場所でしたか?  

 楽しい場所でしたね! 刺激の刺激の刺激の刺激…みたいな場所ですから(笑)。人間観察も面白いですし。宝塚って、お互いがライバルでありながらも、組のチームワークでいいものを作りたいっていう気持ちがみんな大きいんです。体育会系で、「今日もがんばろう!」みたいな感じなんですよ。
 もちろん、団体生活のなかでいろんなことはありますが、それよりも「この作品に皆で向かっていこうよ!」というエネルギーがすごいんです。そこに向かっていくと自然とみんな仲良くなるし、がんばれる。そこがやっぱり宝塚の魅力ですし、そのなかでのトップコンビの魅力はとても大切だと思います。

  



 ―トップ娘役という、誰もが経験できないことを経験されたわけですが、そこで学んだこと、白羽さんの財産になっていることは何でしょう?

 宝石でいうならば、「常にキレイな原石のようでいたい」ということでしょうか。自分のベースみたいなものをクリアにしながら、本質的にやりたいところを見失わないようにやってきたつもりです。でも、そうやって自分で努力をして磨くだけではダメで、誰かが磨いて、ビーズをつけてくれて…つまり、そこには絶対に仲間が必要ですし、お客さまが必要ですし、スタッフさんも必要なんです。
 毎朝、舞台上でウォーミングアップをしていると、最初は真っ暗なんですよ。やがて、照明さんが舞台の照明を全部降ろして、音響さんがマイクのセットをして、徐々に明るくなっていって…。で、大道具さんがいらっしゃって、セリなどを全部点検されている姿をみて、「やっぱり、舞台って生徒だけじゃできないんだなあ」ということを、あの空間で学びました。毎日忙しくて、どうしても自分のことに追われてしまいがちなので、周囲の空気を感じるためにも、舞台でウォーミングアップをしていたんです。
 
 客席だって、まーっ暗なんですよ。そこにお客さまがいらっしゃらなかったら、私たちのやっていることは自己満足に終わってしまうんです。でもそこに、協力してくださるスタッフさんがいて、共演者がいて、お客さまがいて、あの照明があって、あのゴージャスな劇場があって、はじめてあの世界が成り立つ。自分ひとりでは絶対に無理なんですよね。
 
 …あとは、宝塚の娘役の厳しさから学んだことも、正直ありました。娘役って、相手役さんのファンの方に認めて欲しいという気持ちもやっぱりあるんですけど、それはつまり、結婚したときのダンナ様のお母様に認めていただきたいのと同じではないかと(笑)。つながるかどうかわからないですけど、そういう部分でも学びましたね。