ひっそりと退団をかみしめる

サンスポより。
 宝塚歌劇団宙組トップスターの大和悠河(やまと・ゆうが)さんが2009年7月5日、東京宝塚劇場で千秋楽を迎えた「薔薇に降る雨」「Amourそれは…」で退団。足かけ15年の宝塚生活(1995年入団)に別れを告げた。 天性の華があり、下級生時代から印象的な役に抜擢(ばってき)され、活躍した大和さん。この日も華やかでホットなパフォーマンスを披露し、客席を魅了した。

 終演後に行われた退団者による特別なショー「サヨナラショー」では、バウ公演単独初主演作「シンデレラ・ロック」ほか「雨に唄えば」や「外伝ベルサイユのばら」など代表作の曲を次々に披露した。 最後の大階段は、タカラジェンヌの正装である緑のはかま姿ではなく、男役を象徴する黒えんび服姿で降りた。「トップスターになったときに決めていた」という。

 「私はいま、最高に幸せです。宝塚を、私を、応援してくださる皆様とめぐり合え、宙組のみんなとめぐり合え、今日まで過ごせたことは私の人生の大切な、大切な宝物です」と感謝の言葉を述べると、ひと筋の涙がほおを伝わった。

 同期生の元雪組娘役トップスターの舞風りら(まいかぜ・りら)さんが駆けつけ、深紅のバラの花束を渡した。 鳴り止まぬ客席の拍手に、いちど降りた緞帳(どんちょう)は、都合5回あがり、そのたびに大和は投げキス。客席からは歓声があがった。

 その後行われた退団会見は、すがすがしい表情で臨んだ。退団後については「お芝居も楽しいし、歌も楽しいし、踊りもやめたくないし。何かしらの形で活動をしていこうかなと思っています」と話し、宝塚の経験を生かす意向を示した。

 劇場前の恒例のサヨナラパレードにはファン約8000人が詰めかけ、労いの言葉をかけた。 大和は、笑顔でファンらに手を振り、迎えの車に乗り込んだ。車は金のスパンコールでキラキラに飾られたど派手なスポーツカーだった。