やる気があっても結果にあらわれず

ディリースポーツ
「広島3-1阪神」(8日、ハードオフ新潟

 点差はたったの2点。なのに大敗ムード…。阪神打線が三回以降、ルイスにパーフェクトに抑え込まれた。真弓明信監督(55)は、不調の新井貴浩内野手(32)を移籍後初めて6番に降格させることを決断。新打線はしかし、機能しなかった。借金は今季最多タイの10。雨が降る新潟で2戦連続、虎が屈辱にまみれた。

 どこまでいってもイマイチな09年の“タイガードラマ”が、劇的展開か!?苦悩の真弓監督がついに断を下し、今季71試合目にして繰り出した「新井6番降格」の巻-。

 移籍後、先発試合はすべて5番か3番を任してきた男を、主軸から降ろす大ナタ。試合開始前は、興味を引きつけられる展開ではあった。

 この将が打ち込んだ“注射”に、悩める虎がピクリと目を覚ます。

 一回、右前打で出塁した平野を、送りバントで二塁に進め、ここで新井の代わりに、07年10月以来2年ぶりとなる3番に据えた葛城が応えた。

 ルイスの高め136キロを流した一打は左前への適時打となり、先制点を奪った。その裏に杉山が逆転2ランを浴びるも、二回に今度は先頭の新井。カウント2-0から外角スライダーを吹っ切れたように振り抜き、ライナー性の強烈な打球を中前に跳ね返した。

 ドラマチックに激変か-と虎党も身を乗り出したが、劇的だったのは結局ここまで。続く鳥谷が二ゴロ併殺に倒れると、以降は九回までルイスにパーフェクトに封じられて…結果は、今季両リーグ最短2時間16分での瞬殺敗戦に終わった。

 長い長い沈黙の後に、打線組み替えの意図を聞かれた真弓監督が口を開いた。「うん、そやね、つながりがよくなればと思って…」。新井自身も五回の第2打席からは勢いを失い、右飛に倒れて首をひねる姿に逆戻り。八回も初球を簡単に打ち上げ中飛…。この八回は続く鳥谷、代打・狩野も初球凡打で、3球で三者凡退の体たらくだ。新井も試合後、多くを語らなかった。

 和田打撃コーチは6番降格について「ここ数試合、状態が上がってくる兆しがなかったから」と説明。一方で「クリーンアップを打てる選手。1日も早く上げてもらわないと」と尻を叩いた。

 ただ、時間は待ってくれない。チームは借金10に逆戻りし、最短で11日に自力優勝の可能性が消える。球宴を待たずして、ドラマは“上半期打ち切り”の大ピンチだ。