『エリザベート』新人公演

宝塚大劇場 月組公演日程:2009年6月9日(火)18:00開演 ☆座席料金:SS席 5,000円、S席 4,000円、A席 3,000円、B席 2,500円(税込)

主な出演者
トート: 明日海りお(あすみ・りお 2003年入団第89期生)さん本役は瀬奈じゅん(せな・じゅん 月組トップスター)さん) / エリザベート 羽桜しずく(はざくら・しずく 2003年入団第89期生)さん本役は凪七瑠海(なぎな・るうみ 宙組男役 2003年入団第89期生)さん) / フランツ・ヨーゼフ: 紫門ゆりや(しもん・ゆりや 2005年入団第91期生)さん本役は霧矢大夢(きりや・ひろむ 1994年入団第80期生)さん) / ルイジ・ルキーニ: 宇月颯(うづき・はやて 2004年入団第90期生)さん本役は龍真咲(りゅう・まさき 2001年第87期生)さん) / ルドルフ: 煌月爽矢(あきづき・さや 2006年入団第92期生)さん本役は遼河はるひ(りょうが・はるひ 1996年入団第82期生)さん/青樹泉(あおき・いずみ 1999年入団第85期生)さん/明日海りおさん


宝塚歌劇支局090613」より引用。

“期待のホープ明日海りおさんがトートに挑戦 月組エリザベート」新人公演
 月組エリザベート」新人公演(小柳奈穂子氏担当)が、宝塚大劇場で行われた。 本公演でも明日海さんがルドルフを演じる日は、平日でも立ち見が出るというちょっとしたブレイク現象を起こしているが、新人公演当日は、当日券を求めて徹夜の行列が出来たとまことしやかに噂されるほどの大賑わい。立ち見もぎっしり超満員のなか熱気あふれる公演となった。
 「エリザベート」新人公演は、1、2幕の通し上演だが、計約1時間50分で、かなりカットしての上演。冒頭、ルキーニが登場するが、死者が蘇る場面とトート登場の場面はなく、少女時代のエリザベートが現れる場面から始まるなど、これまでの新人公演パターンを踏襲している。しかし、主要な場面はほぼ網羅してある。
 トートに挑戦した明日海さんは、カツラ、メークなど独自の工夫を凝らすなど外見から並々ならぬ意欲がうかがえる。しかし、照明の関係か表情が真っ白に飛んでしまい、登場シーンからいきなりやや平板な印象。「愛と死の輪舞」「最後のダンス」(好唱)「闇に広がる」と続く歌唱は、持ち前のまろやかな低音を駆使、表現力も豊かでどれもそつのないできばえ。ただ、時折声が割れたところがあったのは課題か。歌はほぼ文句なしだが演技的には本役の瀬奈じゅんさんのようなエリザベートを包み込むような包容力の表現はさすがにまだ乏しい。瀬奈さんとは違った明日海さんなりの若々しい情熱的なトート像を作りあげられれば、もっといい舞台になるだろう。ただラストシーンの純白の衣装と笑顔が一番似合ったのはいかにも明日海さんらしい。
 エリザベート役の羽桜しずくさんは、レッスンの甲斐あり、不安だった歌が「私だけに」はじめ思いの外、安定感があり、立ち姿も凛として美貌が映えた。まだまだ発展途上ではあるが、予想をうわまわる収穫だった。ただ、フランツ役の紫門ゆりやさんとのデュエットが不安定。 その紫門さんだが、すっきりした立ち姿や気品ある雰囲気はフランツにぴったりだったが、歌唱になると消極的で、なんとなく自信なさげ。相手を気遣ったのかも知れないがここは、自信をもって歌わないと、デュエットにも影響してしまう。特に「夜のボート」でそれを感じた。
 ルキーニ役の宇月颯さんは、童顔をヒゲで隠し、男っぽさを強調しての熱演。新人公演のルキーニは、物語の進行役もかねておりなかなか大変な役だが、セリフがクリアで聞きやすく、緩急自在の歌も及第点。
 ルドルフ役は、煌月爽矢さん。軍服姿ががっちりした体格にみえ、皇太子というには逞しい感じがしたが、歌唱は巧く「闇に広がる」では明日海と心地よくハモった。
 あとゾフィー本役は城咲あいさん)の玲実くれあ(れみ・くれあ 2004年入団第90期生)さんが熱演。マダム・ヴォルフ役本役は沢希理寿(さわき・りず)さん)の彩星りおん(あやほし・りおん 2004年入団第90期生)さんツェップス役本役は一色瑠加(いっしき・るか)さん)の響れおな(ひびき・れおな 2004年入団第90期生)さんが実力を発揮した。特に彩星さんのパワフルな歌声と華やかな雰囲気が場面をゴージャスに盛り上げた。 全体的にも新人公演らしい若々しく華やいだ公演という印象だった。