宝塚歌劇支局『安蘭けいさんサヨナラ公演インタビュー』

宝塚歌劇支局より引用と参考。

 

安蘭けいさんのサヨナラ公演、ミュージカル「My dear New Orleans〜愛するわが街」(植田景子氏作、演出)レビューファンタスティーク「ア ビヤント」(藤井大介氏作、演出)の東京公演が始まり、初日前に安蘭さんが囲みインタビューに応じた。今回はこの模様と春の各劇場で活躍しているOGたちを紹介。


 「ア ビヤント」舞台稽古終了後、吹き出る汗をぬぐう間もなく会見場に現れた安蘭さんは、宝塚での千秋楽をすでに終えているとあって余裕の表情。

 「自分のなかでは宝塚で一度、サヨナラのけじめがついているので東京では千秋楽まできっちりとお芝居とショーを務めて、宝塚での男役最後の舞台を楽しみたい」とまずあいさつ。

 どの場面が一番楽しいかという質問に「ショーで女役のカツラを脱ぎ捨てて男に戻るところ」と答えて笑いを誘っていた。


 「4月26日の千秋楽まで安蘭けいをよろしくお願いします」と笑顔で締めくくった。実力派とあって退団後の去就をめぐって各方面から誘いがきているようだが、宝塚関係者には「退団後にじっくり考えてきめたい」と話しているという。

 さて、ちまたではOGたちが出演する舞台が目白押し。まず、東京・シアタークリエで上演中の劇団四季の看板俳優だった石丸幹二主演「ニュー・ブレイン」に樹里咲穂(じゅり・さきほ)さん初風諄(はつかぜ・じゅん)さん が出演している。オフ・ブロードウェー・ミュージカルの日本初演版で、突然、脳の病気にかかった作詞家と彼を取り巻く人々の物語。樹里さんは石丸のマネジャー役、初風さんは母親役。いずれもソロもあるかなり重要な役どころで、それぞれ好演。舞台を盛り上げている。

 東京・銀河劇場で開幕した笹本玲奈浦井健治主演、ミュージカル「回転木馬」にも安奈淳さん、風花舞さん、千琴ひめかさん(はいたにしょうこさん)が出演。風花さんが回転木馬の女将に扮して体当たりの熱演、新境地を開拓したのがみどころだった。


 一方、麻実れいさんはテネシー・ウィリアムズ原作の「ストーン夫人のローマの春」(ロバート・アラン・アッカーマン演出)に出演、東京・パルコ劇場の初日が遅れるというハプニングがあったが、それだけに完成された舞台で、麻実さんの女優としての成熟度が見事だった。麻実の役どころは、下り坂の大女優。休暇でやってきたローマで夫と死別。江波杏子扮する公爵夫人にジゴロを紹介され、おぼれていくというなかなか残酷で悲惨なお話。それを麻実さんはいやらしくなく品よく、ゴージャスに見せきった。

 その前、春野寿美礼さんが退団後初ミュージカル「マルグリット」にタイトルロールで主演した。ミシェル・ルグランの音楽、豪華な衣装、斬新な装置と舞台の彩りは最高級だったが、何か未消化のまま観客に見せたような生煮え感があり、ちょっと惜しい舞台だった。マルグリットに扮した春野さんは、歌はリリカルで綺麗だが、演技にまだたおやかさが出ず、見ていて歯がゆかった。数年後に再演すれば全然違ったものになるだろう。ナチス将校を演じた寺脇康之もミスキャストだったように思う。温厚な人柄がでてしまい冷たさが出なかった。