DVD「22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語」

 かぐや姫伊勢正三と、猫の大久保一久が1975年に結成したフォークデュオの風(かぜ)の代表曲「22才の別れ(作詞・作曲 伊勢正三)」をモチーフにしている。

 今作で舞台に選ばれたのは、九州の大都市・福岡と大分県津久見臼杵といった情緒あふれる街々。物語のクライマックスには臼杵市の“うすき竹宵”がフィーチャーされ、竹ぼんぼりの明かりが優しく、そして幻想的な雰囲気をかもし出す。
 主人公を演じるのは映画、テレビ、舞台など、幅広いフィールドで圧倒的な存在感を見せている筧利夫。共演に『うなぎ』『赤い橋の下のぬるい水』で各賞を受賞している演技派・清水美砂、そして脇を長門裕之南田洋子三浦友和峰岸徹、村田雄浩など、大林映画ゆかりのヴェテラン陣ががっちりと固める。
 また、ヒロインとして期待の新人、鈴木聖奈(NHK朝ドラ「瞳」の萌役)と中村美玲が時代を隔てた親と子を瑞々しく演じているのも話題のひとつ。そのほか、窪塚俊介細山田隆人寺尾由布樹といった若手ものびのびとした演技で映画に活力を与えている。
監督・脚本・編集を手がけたのは、日本を代表する映像作家・大林宣彦。幻想的な映像美で二つの時代を流麗に描き分け、主人公たちの心の悲哀を見事なまでに表現。円熟の境地を見せている。

 人生の岐路に立った主人公が偶然出会った女の子は、22才の頃、自分が未熟だったために別れた女性の娘だった…。
 福岡市の商社に勤める川野俊郎(筧利夫)は、1960年代生まれの44歳。社内には煮え切らない関係を続ける37歳の有美(清水美砂)がいるが、お互いに一歩を踏み出す勇気はない。ある日、ずぶ濡れで駆け込んだコンビニのレジで「22才の別れ」を口ずさむ少女、花鈴(鈴木聖奈)に出逢う。ふとしたことから親しくなった俊郎は、コンビニを辞めた花鈴にいきなり「援交して」と言われ戸惑うが、なにか不思議な縁を感じ、放っておくことができず家に招き入れる。
 しかし花鈴の身上を聞いた俊郎は信じられない事実に衝撃を受ける。花鈴はかつて22才の誕生日に別れた恋人、葉子(中村美玲)の実娘だったのだ…。

CAST=筧利夫  鈴木聖奈  中村美玲  三浦友和  長門裕之  清水美砂  
STAFF=監督: 大林宣彦  原案: 伊勢正三<22才の別れ>より  脚本: 南 柱根・大林宣彦
音楽: 山下康介、學 草太郎伊勢正三

製作年:2006年/製作国:日本/製作:ダイアックス
配給:角川映画/製作協力:ピーエスシー
カラー/1時間59分/7巻/3261m/ビスタサイズ/DTS-S