071013 観劇 雪組の『シルバー・ローズ・クロニクル』

 
 雪組公演「シルバー・ローズ・クロニクル」(作・演出=小柳奈穂子氏) 梅田芸術劇場「シアター・ドラマシティ」 11時30分開場・12時00分開演 全席指定 11列 主役=彩吹真央(あやぶき・まお)さんがエリオット・ジョーンズ・大月さゆ(おおつき・さゆ)さんがアナベル・クレム。  出演=凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんはクリストファー・クレム。 

クロニクルとは、出来事や事件を年ごとに記述した歴史書のこと。スペルはChronicleである。

宝塚歌劇支局」より引用。 

 バンパイアに憧れる青年が、実際にバンパイアの少女に恋したことから、さまざまな冒険に巻き込まれ、自身も成長していくというストーリー展開。およそ宝塚の男役らしくないオタク青年を主人公に持ってきた発想は面白い。彩吹さんも硬軟自在に熱演して、大いに笑わせる。しかし演出がややマジメすぎてせっかくの設定が面白みに欠く場面も。両者にもう少し徹底したユーモアのセンスがあればさらによくなるだろう。真矢みきさんがこの役をやったらと思うと意味がおわかりになるだろう。

 アナベル役の大月さゆさんは、一風変わった役を神秘的に演じ込んで好演。しかし、銀髪のカツラはまずまずだが、衣装がどれも似合っておらず、外見が美しくないのはいかがなものか。フィナーレのデュエットダンスのドレスが際だって美しくプロポーションもよく見えたことから芝居の衣装に一考を。

 アナベルの兄でバンパイアのクリストファー役を演じた凰稀かなめさんは長い銀髪に黒づくめの衣装とまるでトートのような雰囲気でかっこいいことこのうえない。彩吹さん扮するエリオットとは対照的。ヘルシング役の緒月遠麻(おづき・とおま)さんも仇役を堂々と演じて、一回り大きくなった感じ。

 ほかに、エリオットにデートの方法を指南する友人ティム役の蓮城まこと(れんじょう・まこと)さんがすっきりとした二枚目ぶりとコメディアンぶりで急成長。バージニア役の愛原実花(あいはら・みか)さんも娘役としての存在感がますます大きくなってきた。
コメディーリリーフではダニエル役の葵吹雪(あおい・ふぶき 男役 2009年退団)、歌ではティーブ役の大凪真生(おおなぎ・まお)さんが実力を発揮した。