北朝鮮の地下核実験に制裁決議


安保理、対北制裁決議を採択…貨物検査、強制力弱まる

【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会は10月14日午後(日本時間15日未明)、北朝鮮の核実験実施発表に対する制裁決議1718を全会一致で採択した。

 安保理北朝鮮制裁決議の採択は初めて。

 決議は強い拘束力を持つ国連憲章7章に基づき、大量破壊兵器関連物資の移転阻止に向けた船舶などの貨物検査や金融制裁など幅広い制裁措置を盛り込み、北朝鮮に核、ミサイル放棄を迫る国際社会の意思を明確に示した。

 米英仏中露の安保理常任理事国と日本は14日午前から午後にかけて大使級会合を開き、決議の最終案で合意。核実験発表から6日で採択にこぎつけた。

 6か国の最終調整では中国の修正要求に応じ、北朝鮮を出入りする貨物の検査で各国が協調的行動を取ることを義務化していたのを「各国に要請する」と表現を弱めた。中国の王光亜国連大使は採択後の演説で、中国は貨物検査に賛成しないと明言。関係国に対しても、緊張激化を避けるため、「慎重かつ責任ある」対応を取ることを求めた。

 また、最終調整でロシアの要求を受け、北朝鮮への移転阻止が義務付けられる大量破壊兵器関連物資、技術のリストを作り、規制対象を明示することにした。

 決議は核実験発表に「最も重大な懸念」を表明し、「国際社会の平和と安全への明白な脅威が存在する」と明記。安保理が強制行動の根拠となる国連憲章7章のもとで行動し、経済制裁などを定めた同章41条に基づく措置を講じるとした。

 そのうえで、北朝鮮に対し、核兵器と核開発計画、その他の大量破壊兵器弾道ミサイルの計画を完全かつ検証可能な形で放棄することを義務付けている。

 国連加盟国に対しては、核、ミサイル関連物資だけでなく、戦車、戦闘機、軍艦、ミサイルなどの兵器も交換用部品を含め、北朝鮮への輸出を禁止。北朝鮮から核、ミサイル関連物資を調達することも禁じ、大量破壊兵器計画にかかわる人物や組織の資産凍結も規定している。

 国連加盟国は決議採択から30日以内に、これらの措置の履行状況を報告し、安保理に設置される制裁委員会が点検する。安保理北朝鮮の行動を継続的に見直し、順守状況に応じて制裁の強化や解除を検討する。

 大島賢三国連大使は採択後の演説で「決議は強い措置を盛り込んでいるが、制裁のための制裁を目的としたものではない」とし、北朝鮮に履行を求めた。また、決議が北朝鮮の「人道問題」にふれている点を強調し、拉致問題の早期解決を要求した。

(2006年10月15日21時50分 読売新聞)