勝利はするっと手からこぼれていった 日本1−3オーストラリア

 残念な結果です。ジーコの不可解な選手交代に疑問。坪井から茂庭は仕方ないとしても、柳沢から小野はなんの意味もない。そして2点目を入れられ、あわててロスタイムでなんとDFの茂庭に代えて大黒の投入。ここは疲れている高原にかえるべきであった。
この点についてジーコは下記のとおりインタビューに答えている。

サッカー日本代表:落胆するジーコ監督…一問一答 日本は1次リーグF組初戦でオーストラリアに逆転負け。ジーコ監督は落胆した様子で試合について口を開いた。
 −試合をどう見た。
 「われわれは1−0で勝っていた。その後はカウンターなどからの多くの得点機を逃したのが痛い。追加点を奪って試合を決めることができなかった。相手の1、2点目はうちの油断につけ込まれた」

 −相手の戦術については。
 「オーストラリアは途中からFWを増やした。守備を薄くする危険を冒しながらプレッシャーをかけてきた。長身選手をそろえており、ロングボールからの攻めを封じるのは難しかった」

 −暑さの影響は。
 「暑いのは相手も同じ条件。うちはとにかくミスが多かった」

 −小野を入れた理由は。
 「小野、中村、中田英のトライアングルに期待して入れた。だが結果は芳しくなかった」

 −大黒の投入が遅かったのでは。
 「FWを早く代えようとは思わなかった。うちの2トップはともにいい動きをしていた」

 −あと2試合の戦い方をどう考える。
 「日本は難しい状況に追い込まれた。特に3点目を失ったのは、得失点差を考えても厳しい。これで次のクロアチア戦に勝たなくてはならなくなった」(共同)
毎日新聞 2006年6月13日 8時34分 

 ジーコは小野投入を「攻撃」「守備」のどっちつかずに実行した。また、再三のゴールチャンスをつぶした2人のFWを信頼している根拠がわからない。
 一方で、相手のヒディング監督の手腕はたいしたものだ。1点を取られているから攻めを重視した。
 さて、ジーコはマルタ戦のあとでも「ミスが多かった」と語っている。しかし、具体的には何をさすのかが不明。点をとれなかった(もっと大量点)FWのことをしめしているのか?マルタに逆襲されたDFのことだろうか?


 さて、宮本選手のコメントにこの試合の敗因があらわれている。

「向こうはフレッシュな選手を3人入れてきたが、こちらは守備陣が疲れていた。後半35分までは、ある程度はゲームをコントロールできていたが、最後の10分で3点も取られてしまった。」
「(ゲームプランについて)こちらが1点をリードしていたので、向こうが点を取りにくることは分かっていた。それをどうしのぐか、ということを考えていた。もちろん追加点も狙っていたし、カウンターからのチャンスもあった。
(相手に合わせて後ろの枚数を増やすことは)やっていない。1−1になったときに、引き分けでもいいのか、それとも勝ち越しのチャンスを狙うのか、若干ゲームのリズムも変わってしまった。前の選手は点を取りに行っていたし、後ろとしてはカウンターを食らいたくないというのはあった。数的に同数にはならないようにしていた。(中盤の選手が相手の)ボールの出所にいけなくなったので、下がってしまった。」

 同点になったときの対処について選手間で事前の話しがないことが問題だと思う。
 昨年にも書いたがジーコの選手起用はおかしい。ここに最大の敗因がある。


 元日本代表の井原正巳氏はこう分析する。(僕と意見は同じ)

 同点後の「どう戦うか」が見えなかった

 選手交代で小野が入って、どういうふうに戦うのか、メッセージが見えなかった。中田英を前にして攻撃的にもう1点を取りにいくのか、中盤を厚くしてボールを回してキープしながら攻めるのか、それとも守り切るために入れたのか、分からなかった。オーストラリアはボールをけってくるから、あるいはFWを入れれば後ろは楽だったかもしれない。素早いカウンターを狙うこともできるし、あるいは前からディフェンスに行ってくれれば、最終的にDFが楽になれた。

 同点になっても、勝ち点1を取れればいいと思ったが、そこで「どう戦うか」が見えなかった。もう1点を取りにいくのか、相手が攻撃的布陣を残しているから守ってカウンターに行くのか、それとも守り切るのか……どうするのか分からないいまま、ズルズルいっていた感じがした。

 結局6分間で、ロスタイムを入れれば9分間で失点してしまった。ゲームの運び方、守り方、守ってからの攻め方は良かった。同点にされてからの判断、そして追加点を取れなかったことが、日本が敗れた理由だと思う。

しかし、まだ初戦、これから2戦もある。楽しみながらも奇跡を信じよう。