清順さん81歳でも元気

毎日新聞より引用

オペレッタ 狸御殿』完成披露試写会
鈴木監督、ツィイーさんについては「国際的女優さん、今さら言う事はないでしょう」と、オダギリさんについては「去年の演技賞を総なめにした男でしょ、言う事ない」とサラリ
 ◇鈴木清順監督、「老いの一徹」で撮った新作を披露
 日本映画界の巨匠・鈴木清順監督の新作『オペレッタ 狸御殿』の完成披露試写会が3月7日、東京都内のホールで開かれ、鈴木監督と牢番の狸“次郎狸”役のパパイヤ鈴木さんが上映前に舞台挨拶を行なった。
 『オペレッタ 狸御殿』は、中国を代表する国際派女優チャン・ツィイーさん扮する「狸姫」と、オダギリジョーさん扮する、ある城の城主の世継ぎ「雨千代」の“道ならぬ”恋を描いたミュージカル仕立ての恋愛劇。壇上で、本作を制作した理由を問われ、「前前から撮りたいと思っていた。まあ、老いの一徹、それだけです」とあっさり答えた鈴木監督、その表情は実に晴れやか。オペレッタとは、1920年代、フランスでブームを巻き起こした歌と芝居と踊りが一体となったオーケストラ付きの音楽劇のことで、基本的にハッピーエンドになるのが特長だ。日本でも1939年から'59年の間に盛んに作られ、市川雷蔵若尾文子らが出演した「狸御殿シリーズ」は大ヒットを記録した。当時それを見た鈴木監督は、いつか自分も、と思い続け、ついに本作でその念願を果たしたわけだ。「打ち上げのとき初めてお目にかかった。きれいな人だと思ったら、彼女がそうだった」と、ツィイーさんと初めて会ったときの感想を語るパパイヤ鈴木さん
 一方、ユニークな衣装をまとい、軽やかなステップを踏みながら舞台に現れたパパイヤ鈴木さんは、「酔って歌うシーンで、監督から『酔いが足りないなあ』と言われ、いろいろやったら『やり過ぎだ』と怒られた」というエピソードを披露。また、主役のオダギリジョーさんについて、「僕が言うのもなんですが、抱きしめたくなるほどイイ男。彼の前で踊るシーンがあるが、彼と一緒のフレームに自分が収まっているのがいいなあと思って…」と妙にうれしそうだった。
 主要なキャストとは別に、びっくりするようなビッグスターが出演しているのも本作のみどころのひとつ。なかでもあっと驚くのは、かつての「狸御殿シリーズ」に出演していたアノ人。それが誰かはみなさんのお楽しみのため、ここでは言わないことにいたしましょう。
 パパイヤさんが「娯楽性たっぷりのミュージカル。よくわからなかったら、とりあえず、僕が出たところで笑ってください」と語る本作。確かに、普段見なれない種類の映画なので最初はかなり戸惑ったが、慣れてくると、これが不思議とハマる。そして、80歳を過ぎてなお、このようなケレン味たっぷりの映画を作れる鈴木監督のバイタリティーに改めて恐れ入る。その鈴木監督は、「プロデューサーが、客がン十万人入らないと元がとれないと言っていた。楽しい映画なので、みなさん、どうぞ口コミをお願いします」アピールし、舞台を去って行った。【りんたいこ】作品データ
オペレッタ 狸御殿』監督:鈴木清順ピストルオペラ』『ツィゴイネルワイゼン』出演:チャン・ツィイーオダギリジョー薬師丸ひろ子山本太郎、パパイヤ鈴木 2005年/日本/111分/日本ヘラルド映画+松竹配給 公式サイトhttp://www.tanuki-goten.com

僕は基本的に映画は娯楽と思っている。芸術作品でも別にいい、見て面白かった(つまりこの貧しい僕の心に届くもの全て)らそれは娯楽である。日本では、余りにも自分勝手な作り手が多すぎる。自己満足を優先して観客をほったらかしにする手合である。僕の尊敬する黒澤監督にしても、その芸術と娯楽の境界線でもがいていた。さて、鈴木監督は、初期の頃から様式美にこだわり、また、俳優の真の力を引き出すことに長けた人であった。今回の映画にも期待大です。