観戦していたので気持ちは分かる

 試合後、泥酔した虎党が一塁側スタンドで“籠城”。警察が駆けつける事態となった。スタンドからメガホンも投げ込まれた。甲子園が異様な雰囲気になってきた。 


サンスポ

 (セ・リーグ阪神1−3ヤクルト、19回戦、阪神10勝9敗、30日、甲子園)そんなアホな! 阪神はヤクルトに1−3で敗戦。五回一死満塁の同点機で、糸原が飛距離十分の外野フライを放ったにもかかわらず無得点という前代未聞のプレーが飛び出した。金本知憲監督(50)もア然ぼう然。3連敗で借金は今季ワーストの「9」。3位巨人とは2ゲーム差のままだが、こんなことではAクラス復帰、できまへんで!!

 よっしゃーーー! 飛距離十分。これで点が入る。やっとこさ同点…って…エッ、マジ!? なんじゃ、そりゃ!

 「どうしたものかね。う〜ん。タッチアップとか、ちょっと信じられないプレーも出るし。俺も見たことないしな、あのプレー。なかなかちょっと、あり得んことが起こっているわな」

 金本監督は試合後、首を振るしかなかった。

 4万4609人が目を丸くした世紀の走塁ミスが飛び出したのは、1点を追う五回一死満塁だった。サブマリン山中から糸原が中堅左に飛球を打ち上げる。飛距離は十分。三走・鳥谷はもちろんタッチアップだ。しかし、二走・梅野までも三塁に走ったのは誰が想定しただろうか。青木の送球はカットに入った西浦を介し、三塁へ。梅野は憤死。そして、これが鳥谷が本塁を踏むより先だったため、得点は認められないことに。白井球審が手を激しく振って、無得点を知らせる。スコアボードに「0」が刻まれると、スタンドからは怒号が入り交じった声が一気に噴出した。




三塁コーチャーを務める高代作戦兼総合コーチが「開いた口がふさがらない」と吐き捨てたボーンヘッド。2010年5月22日のロッテ戦(甲子園)で4−4の九回一死満塁で城島の犠飛に二走ながらタッチアップし、憤死(三走・マートンの生還が早かったためサヨナラ勝ち)した新井(現広島)のようだった。

 梅野の暴走も痛い。ただ、それ以上に鳥谷がスピードを緩めながら本塁に向かっていた点が、低迷する金本政権3年目のすべてを物語っている。

 鳥谷の走塁について、金本監督は「俺も1点入ったと思って、見てなかったけど」と糾弾を避けたが、ネット裏から見た他球団関係者は「何が起こるかわからない状況で全力疾走しなかった鳥谷が悪い」と厳しく指摘。白星になかなか結びつかない現状で、全力疾走の基本を怠る。弱みをみせ、つけ込まれる。負の連鎖の象徴だった。

 こんなお粗末なプレーが出て、はね返すだけの力は今の打線にない。六回終了時でリードを許せば今季0勝26敗。鳥谷は「(梅野の進塁は)自分は走っているので自分に聞かれても…」と話し、梅野は「自分の中ではいけると思った。流れを止めてしまった。才木を助けてあげられなかった。結果は自分のせい。申し訳ないです」とザンゲを繰り返した。

 本拠地でシーズン同一カード3連敗5度は球団史上最多タイ。暗黒時代と呼ばれた1995年の中村政権に並んだ。当時は最下位。今季ワーストの借金9とともに、6位・中日に1・5差まで詰め寄られた。