瞳(ひとみ)ばかりじゃない 


 安定した打ち上げを示したH2Aロケットに搭載された 超小型衛星

NHKより

H2Aロケット30号機では、人工衛星を故障させる原因になる「宇宙の静電気」ともいえる放電現象について、世界で初めての実験を行う九州工業大学の超小型衛星「鳳龍四号」も打ち上げられ、打ち上げは成功しました。


将来、惑星探査を行う有人宇宙船の開発や月面基地の実現に向けては、これまで以上に大規模な電力を太陽光発電で作り出す必要がありますが、宇宙空間では「宇宙の静電気」ともいえる放電現象が起きて衛星を壊してしまうことがあり、その対策が課題になっています。


九州工業大学の研究グループは、この放電現象について世界で初めて宇宙空間で実験を行う超小型衛星「鳳龍四号」を開発し、17日午後5時45分、H2Aロケット30号機で、天体観測衛星「ひとみ」とともに打ち上げられました。


「鳳龍四号」は17日午後7時半ごろ、衛星からの電波を受信し、予定どおり地球を回る軌道に入ったことが確認され、打ち上げは成功しました。


「鳳龍四号」は縦、横、高さがそれぞれ40センチ余りの立方体で、機体の外側に取り付けられた太陽電池パネルの上で放電現象を起こすことができます。


放電現象を実際に宇宙空間で起こす実験は、人工衛星のさまざまな機能に影響を与えるおそれが高いことから、これまで行われたことがありませんでしたが、今回、放電現象だけに限った超小型衛星を開発したことで実験が可能になったということです。


研究グループでは今後、北九州市戸畑区の大学構内に設けた管制室から衛星側との通信試験を行って、今月下旬にも実験を開始したいとしています。


研究グループの大学院生で、打ち上げを種子島で見守った福田大さんは、「これまでの開発の苦労が一瞬で吹き飛ぶようなすばらしい打ち上げでした。まずは無事、衛星が軌道に投入されたことを仲間とともに喜びたいと思います。鳳龍四号で行う実験は誰にも負けない大きな意義があると思うので、気を引き締めてこれから実験に臨みたいです」と話していました。