経済制裁に対抗するロシア

  【モスクワ=田中孝幸】ロシア中央銀行中国人民銀行(中銀)は13日、金融市場の緊急時に自国通貨を相互に融通し合う「通貨スワップ協定」を結んだ。期間3年で規模は1500億元(約2兆6200億円)と設定した。両国の通商関係の拡大とドルへの依存度を下げる狙いがある。


 中国の李克強首相は同日、モスクワでロシアのメドベージェフ首相と会い、経済関係をさらに強化することで一致した。両国の代表団は宇宙やエネルギー、金融などの分野での30を超える合意を含む文書を取り交わした。


 メドベージェフ首相は会談後の記者会見で「困難な状況の中で、両国が新たな可能性を切り開く意義は大きい」と強調した。ウクライナ危機以来、ロシアと欧米の関係は悪化し、制裁を受けているロシアの銀行やエネルギー企業は国外での資金調達が難しくなっているとみられる。


 今回の合意には、欧米との取引が制限されているロシア国営石油会社ロスネフチと中国石油天然気集団(CNPC)の協力拡大も含まれている。


 メドベージェフ氏は「ロシアと中国の2国間関係は本当に発展している」と強調した。2013年に890億ドル(約9兆5500億円)だった2国間の貿易額が15年に1千億ドルに増え、20年には2千億ドルに達するとの見通しを示した。

通貨スワップ協定とは、各国の中央銀行が互いに協定を結び、自国の通貨危機の際、自国通貨の預入や債券の担保等と引き換えに一定のレートで協定相手国の通貨を融通しあうことを定める協定のこと。