日本と関係深いブラジル うれしい応援 日本代表に期待 W杯

NHK

 サッカーワールドカップブラジル大会に臨む日本代表は8日、ブラジルに入って初めての練習を行い、14日に迫る初戦に向けた調整をスタートさせました。


 日本代表は7日夜に合宿地のアメリカからキャンプ地のイトゥに入り、8日、ブラジルに入って初めての練習をキャンプ地の近くのソロカバの町のスタジアムで行いました。

 

(左から)青山、長谷部、大久保ら日本代表の選手たち(8日午後、ブラジル・イトゥ近郊で)


 練習は地元の人たちにも公開され、スタンドには日系人など地元のおよそ5400人が詰めかけて、本田圭佑選手や香川真司選手などに大きな拍手や声援を送っていました。
またグラウンドには、サンパウロ日本人学校などの子どもたちが招かれ、選手たちと一緒に写真を撮るなどして交流しました。


 このあと選手たちは2つのグループに分かれて実戦形式の練習をして攻撃の連係などを確認し、14日に迫った1次リーグの初戦コートジボワール戦に向けた調整をスタートさせました。



 日本代表は9日からはキャンプ地のイトゥのリゾートホテル内のグラウンドで調整する予定です。
また練習が行われたスタジアムでは、日本代表が到着する前に地元のおよそ20人がワールドカップの開催に反対するデモを行いましたが、大きな混乱はありませんでした。


長谷部「よいトレーニングできた」
 練習のあと、キャプテンの長谷部誠選手は「すばらしい雰囲気のなかでよいトレーニングができた。日系人の方がたくさんいるので自分たちの背中を後押ししてくれると思う」と話しました。


 そして、14日の初戦に向けて「心身ともに最高の準備ができれば勝てると思う。チームの雰囲気はよいので、引き続きやっていきたい」と話しました。


地元メディアも日本代表に注目
 日本代表が、ブラジル入りしてから初めて行われた8日の公開練習には、地元のテレビ局や新聞社なども取材に訪れました。


 ブラジルのテレビ局「グローボ」のリポーター、ジュリアーノさんは「祖父が日本人なので、もともと日本代表に関心を持っていた。日本代表はザッケローニ監督の下、素早い攻撃サッカーで1次リーグを突破して、ベスト8には進むのではないか」と話していました。


 また練習が行われたソロカバのテレビ局のリポーター、ジェシカさんは「日本には愛着があり、選手は全員知っている。その中でも本田選手は相手にとって危険なプレーヤーだ。日本代表は強いので、決勝まで勝ち進み、ブラジル代表と対戦してほしい」と話していました。


 日本代表が拠点とするイトゥなどサンパウロ近郊には日系の企業も多く、日本代表の情報には関心が高いということで、この日の公開練習には10台以上のテレビカメラが集まりました。



ゲキサカ

 これも運命か。日本代表のブラジル入り後初練習の会場となったソロカバは、今から17年前、MF遠藤保仁(G大阪)が鹿児島実高2年の春休みにサッカー留学したところ。当時サンパウロ州1部に所属していた強豪のECサンベントスの練習に1か月間参加した思い出の地で、34歳のベテランは感慨深げに言った。



これだけ広いブラジルで、ここで初日を迎えられるのは個人的にはうれしい。ここでは多くを学んだから


 昨年12月にも遠藤はソロカバに来て自主トレーニングを行った。ブラジルW杯へ向けて、初心に返るという思いがあったことは想像に難くない。

 ただ、そのときは日本代表がW杯の練習場所としてソロカバのスタジアムを使うことは知らなかったという。それだけに、合宿地がイトゥに決まり、ソロカバでも練習をやると知ったときは奇遇な運命を感じたに違いない。


 ブラジルでの練習初日には鹿実時代の恩師であるカルロスコーチが日の丸の旗を持参し、遠藤と伊野波雅彦(磐田=鹿実出身)を激励した。

「当時の遠藤にはトレーニングでの厳しさがなかった。『プロになるなら厳しいプレーをしろ。甘いプレーはするな』と言った。しかし、18歳のときからよく伸び、すごい技術になっている。日本は遠藤がいるときはOKだが、いないとチームが変わってしまう」と愛弟子の成長に目を細めた。


 練習前にカルロスコーチと会ったという遠藤は「指宿からやってきて、ようやくW杯が近づいてきた。アメリカで良いトレーニングを積めたし、またここでさらに良い緊張感と高いモチベーションを持ってやっていけば、W杯へ向けて良い準備ができるのではないかなと思う」と表情を引き締めた。思い出の地でスタートを切り、南アフリカW杯を超える活躍を見せるつもりだ。

眼・術・戦 ヤット流ゲームメイクの極意

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遠藤保仁選手 ニックネーム(愛称) ヤット、ヤットさん





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試合中に遠藤が見ている世界とは?


「調子がいいときは“ここにいるだろうな”というところまでドンピシャでわかります。そういうときはプレーが楽ですね。遠くのほうをしっかり見て、近くは残像で見る感じですかね。近いほうは自然に目に入ってきますから」


●第一章 『眼』


ピッチでは眼(視覚)で状況をとらえることからはじまる。遠藤は眼からどのような情報を集めているのか?ボールやゴール、敵味方21名、時にはベンチにいたるまで。優位な戦況を作り出せるかどうかは眼で決まる。遠藤が日頃から見ている試合の風景を紐解く。