美しく 飛びました  H2Aロケット24号機


NHK

 宇宙から、災害情報の把握などを行う人工衛星「だいち2号」を載せたH2Aロケット24号機が24日、午後0時5分に、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。
衛星は予定どおり軌道に投入され、打ち上げは成功しました。


 地球観測衛星「だいち2号」を載せたH2Aロケット24号機は、打ち上げの5秒前に1段目のメインエンジンに点火され、午後0時5分、ごう音とともに発射台を離れました。
補助ロケットや1段目を切り離して上昇し、打ち上げからおよそ15分40秒後、「だいち2号」を予定どおり、地球を回る軌道に投入しました。
打ち上げられた「だいち2号」は東日本大震災のあと、被災地を撮影して復旧活動に貢献し、そのあと寿命を終えた「だいち」の後継機です。


 地上の物体を見分ける能力は、「だいち」の10メートルから3メートル程度まで上がり、観測できる幅も3倍近い2300キロ余りまで広げられています。
レーダーを使っているため、天候や昼夜を問わず地上を観測でき、国内外の災害情報の把握などに役立てる計画です。


 H2Aロケットの打ち上げは、これで18機連続の成功となり、成功率は95.8%まで上がりました。


写真:陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の衛星アダプタ(PSS)結合時の衛星本体

宇宙(そら)へのポータルサイト sorae.jp

 今回打ち上げられる衛星は、「RISING-2」、「UNIFORM-1」、「SOCRATES」、「SPROUT」の4機だ。


 RISING-2は東北大学北海道大学が開発した衛星で、解像度5mで、また多波長で地球を観測できる望遠鏡を搭載している。また高精度の三軸姿勢制御が行える機構を積んでおり、定地点の連続撮影にも挑戦、スプライトと呼ばれる高々度の放電発光現象の観測も行う。衛星の寸法は500 x 500 x 500mm、打ち上げ時の質量は約43.2kg。


 UNIFORM-1は和歌山大学を中心に、東京大学東北大学東京理科大学首都大学東京北海道大学、次世代宇宙システム技術研究組合、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所JAXA/ISAS)が共同開発した衛星で、森林火災の検知を目的としている。また、UNIFORMプロジェクトは「汎用的に利用できる超小型衛星バス・運用システムの確立」、「標準化した衛星開発プロセスによるキャパシティビルディングの展開」、そして「そのキャパシティビルディングを通じた海外市場の獲得」といった目標が掲げられており、海外の宇宙新興国との交流や、衛星の商業化にも重点が置かれている。衛星の寸法は500 x 500 x 500mm、打ち上げ時の質量は約50kg。


 SOCRATESは株式会社エイ・イー・エスと、情報通信研究機構NICT)、JAXAが開発した衛星で、エイ・イー・エス社が開発した小型衛星の標準バスを使用した最初の衛星で、そこにNICTJAXAのミッション機器を搭載、宇宙での実証試験を行う。寸法は499 x 498 x 441mm、打ち上げ時の質量は48kg。


 SPROUTは日本大学と株式会社ウェルリサーチが開発した衛星で、寸法は210 x 214 x 220mm、質量は7.1kgと小さいものの、軌道上で厚さ12.5μm、一辺1.5mのとても薄い膜を展開する。衛星の目的はこの膜が展開できるかの実証と、また膜によって軌道がどのように落ちてくるかを実証することにある。またこれほどの小さな衛星の姿勢制御技術の実証や、アマチュア無線家による、衛星に搭載されているカメラの使用なども計画されている。


 これら4機の衛星は、「だいち2号」の分離後に順次分離される。「だいち2号」はロケットの離昇後15分42秒に、RISING-2は24分38秒、UNIFORM-1は28分48秒、SOCRATESは32分58秒、そしてSPROUTは37分5秒に、ぞれぞれ分離される。


 4機の衛星のうち、RISING-2とUNIFORM-1、SOCRATESはJAXAが開発したPAF239Mと呼ばれる分離機構から放出される。この機構はロケットからの分離信号によって火工品に点火、発生したガスの圧力でボルトを切って締結バンドを外し、バネの圧力で宇宙空間に放出するという仕組みだ。一方、SPROUTは独自の分離機構が用いられる。


H-?A ロケット 17号機 彩色済みレジンモデル H-II A Launch Vehicle No.17

H-?A ロケット 17号機 彩色済みレジンモデル H-II A Launch Vehicle No.17