家族の貢献が NY市長へ


 白人の夫 黒人の妻 アフロヘアーの息子 これで人種のサラダボウル NYで 市長に

 

ニューヨーク(CNN)

 5日投開票のニューヨーク市長選で、民主党の新人、ビル・デブラシオ氏が共和党のジョセフ・ロータ氏を大差で破って当選した。デブラシオ氏はどのような人物なのか。


 リベラルな政治風土で知られるニューヨークだが、民主党市長の登場は20年ぶり。ジュリアーニ前市長が2期、ブルームバーグ現市長が3期務めた後の市政を担うことになる。
 世論調査の支持率でロータ氏に約40ポイントの差をつけ、そのままの勢いで快勝したデブラシオ氏について、知っておきたいことを5つ挙げる。


1.党内支持率10%からの出発
 民主党予備選の選挙戦がスタートした時点で、デブラシオ氏の支持率は党内でもわずか10%だった。ウィーナー元下院議員がスキャンダルで失速した後、ブルームバーグ氏が推すクイン市議会議長と接戦を展開。最終的には決選投票を必要としない票差をつけ勝利した。


2.無名の過去
 現職は市政監督官、その前はクリントン上院議員の1期目の選挙参謀を務めた。政界での知名度はごく最近まで低く、注目を浴びたことがなかった。スタッフの少なさや経験の浅さへの懸念から、予算700億ドル(約7兆円)規模の大都市ニューヨークを率いる資質があるのかと疑問視する声もある。本人は「そういう批判は25年前から何度も聞いてきた」とかわしている。



3.家族を前面に出した選挙戦
選挙戦では異なる人種から構成される家族を前面に押し出した。参謀を務めたのは黒人の妻、チャーレーン・マクレイさん。息子のダンテ君(15)もカメラの前で堂々と父親の主張を説明した。


4.反ブルームバーグ政策
 ブルームバーグ市長の政策を「富裕層優遇」と断じ、真っ向から反対する立場を明確に示した。ブルームバーグ市政下で所得格差が拡大し、富裕層と労働者層の分断が進んだと批判。貧困率21%という数字がその証拠だと指摘した。公約として低所得者層向けの住宅や保育施設の整備を掲げ、財源を年収50万ドル以上の層に対する増税でまかなう構想を打ち出した。


5.警察の職務質問を差別と批判
 犯罪発生率の高い地域で警官が不審と認めた通行人を呼び止め、所持品などを調べる「ストップ・アンド・フリスク」について、対象が貧困層や人種的少数派に偏っていて差別的だと批判し、廃止を主張している。これに対してロータ陣営は、ジュリアーニブルームバーグ両市政で重大犯罪の発生率は75%も減少したと指摘。デブラシオ氏の主張を「無謀だ」と非難していた。