ふと桂枝雀さんを想いだす


 桂枝雀さんが亡くなり14年がたつ。
もちろん落語家として偉大(こう書いてしまうと少し違うような気がする)なのだが、ときたまドラマに出演する『怪演』に注視していた。

  
 なぜ自殺したのは、本人を含めて誰にも分からないかもしれない。当時、私は「そんなに思いつめなくてもいいのに」と思っていたけれど彼の年齢に近づくと、人生の澱(おり=1)液体の底に沈んだかす。おどみ。2)すっきりと吐き出されないで、かすのようにして積もりたまるもの。)が溜まりたまって苦しくなったのではと個人的に思う日々です。


 高校生の時、小米(こよね)時代のSR(本人曰くショート落語)を聞いた。その頃、星新一さんの『ショートショート』を読んでいたのだが、作風は全然違うのだが、精神はすごく似ていたような気がしていた。

 『ある世界で(あるせかいで)

「アッ、おかあちゃん、流れ星」
「あ、今のうちに願い事を言いなさい」
「一日も早くお父さんに会えますように」
「そんなことを言うもんじゃありません。お父さまには私たちのぶんも長生きしていただかなくっちゃ」