現時点では 自然エネルギーは万能じゃないが 将来においては 技術の進歩で 今の課題をクリアして 日本のエネルギーの中心に なると思う。


 原発をすぐに全廃することは難しいと思える。しかし、廃炉にかかる費用や今後に予想される大規模地震などに対する安全面やコストを考えると途方もない金額が必要なことを考えなくてはなりません。また、使用済み核燃料はどうするのか?

 とかく、原発を推進する人は、太陽光発電のコストを口にしますが、この資本主義では需要と供給、技術革新でコストは年々下がるのです。1インチ1万円以上した液晶テレビが今は千円程度です(韓国電機メーカー恐るべし!)。

 日本の高い技術力は、これまでもコストダウンをあらゆる製品で成し遂げてきました。さらに効率のいい太陽光パネルや小型風力発電をつくりあげれるだろう。

 しかし、それにしても、いつまで原発の8〜10倍コストがかかると、うわごとのように言っているのだろう??


47ニュースより引用
メガソーラーの未来と自然エネルギー協議会

2012/04/04/ 10:50

 大規模な太陽光発電所(メガソーラー)構想などを推進する自然エネルギー協議会会長を務める石井正弘岡山県知事に、協議会の活動やエネルギー政策の議論の方向性について聞いた。(聞き手:共同通信岡山支局・鮎川佳苗)


 ―自然エネルギー協議会のこれまでの経過と、今後の取り組みは。


 石井 自然エネルギー協議会は35道府県知事が参加し、去年の7月にスタートした。福島の原子力発電所の事故を契機に、原子力依存をできるだけ減らすためにも、自然エネルギーを飛躍的に拡大していかなければならないという同じ考えを持つ知事たちによる協議会だ。互選で会長に就任させていただいた。議論をして、第1回秋田宣言を発し(当時制定されていなかった)再生エネルギー特別措置法の早期の制定、規制緩和、電力会社の接続義務の徹底などを提言した。

 その後、第2回の総会を11月に行い、そこでまた緊急提言をとりまとめた。今度は(1)いわゆる固定価格買い取り制度の価格及び買い取り期間を、普及が拡大する方向で定めていただきたいということ(2)より具体的な各法律に基づく規制の緩和、例えば農地法建築基準法の関係、あるいは工場立地法の関係などを具体的に提言としてとりまとめ、事務局長の孫正義さんとともに関係大臣に提言要望活動を行った。第2回の総会時までに、準会員として団体も含めて約200社が追加で参加した。自然エネルギーに関係する企業や各種団体も参加して、協議会は正会員と準会員を含めて組織自体が拡大され、活動もより力強く展開できる態勢となった。


 現在、正会員と準会員で、自然エネルギーを普及拡大していく上でネックとなっている具体的な事例を集め、浮き出ている課題を洗い出し、解決に向けてどういう方策が望まれるかを検討していこうと動きだしている。もう一つは、電力会社に対して、送電網の拡大やより円滑に接続できるような運用ルールを明らかにしてもらう。こうしたことを中心に、より説得力のある政策提言などに向けて、活動をさらに展開していくことを考えている。


 ―電力会社からは「自然エネルギーを導入しても配送電網はわれわれが管理しないと安定供給に支障が出る」との意見がある。また産業界から「自然エネルギーはコストが高い」との意見もある。どう受け止めるか。


 石井 自然エネルギーは、太陽光発電にせよ風力発電にせよ、やはり気候など自然条件に左右されやすい特質を持っている。しかし、ヨーロッパなどでもかなり進んでいる国があるように、各電力会社において自然エネルギーのウェイトをより高めてもらい、電力の供給体制の中に組み込む前向きな姿勢で取り組んでいただくことが、原子力発電に依存しているわが国のエネルギー体系から、原子力をより減らしていく方向に移っていくことになる。地球温暖化の防止にもつながっていくことであり、大局的な見地から前向きに取り組んでいただきたいと願っている。


 また、非常に技術開発が進んできており、太陽光にしても今後20年でコストは半分以下になっていると思う。現在、風力はさらにコスト面で採算が取れるところまで効率性が上がってきている。効率的な電気供給という面においては、技術開発が進んできていると考えている。産業界の懸念も現時点で分からないわけではないが、今までの技術の進歩とこれから先のさらに進んで行くであろう技術開発を考え合わせれば、そうした問題点や課題は克服できるものと思っている。

 太陽光だと夜はだめだとか、風力だと風が吹かない季節はなかなか電力供給に結び付かない、などの問題は、他の水力発電などを組み合わせることで、電力会社全体として自然エネルギーを増やしていく方向に持っていくことは十分、可能ではないか。安定的な電力供給に支障があるということだけをもって、接続を拒否するような事例が出ないように、電力会社に対して国の方で強く指導してもらいたいと思う。


 ―今年を日本のエネルギー政策の転換の年にしようという議論も出ている。日本全体での議論は、どういう形で進んでいくべきだと考えるか。

 石井 国でエネルギー基本計画の見直しの検討が進み、夏ごろをめどに議論がまとまるようにも聞いている。「原子力発電をただちに全部なくすことは難しい」と電力業界の方々などは主張しているが、安全安心が確認されないうちは、やはり原子力発電の稼働は地域住民の皆さんにとっても容認することができないのだと思う。それは私もよく分かる。原子力発電の依存を長期的なビジョンをつくって減らしていく、その代わりに自然エネルギーを増やしていく、という大きな流れを、期間を定め行程表を明示することによって、国民みんなで実現に向けて取り組んでいくという分かりやすいビジョンを(国は)示すべきではないか。


 その場合、大事なことは、自然エネルギーは地域によって特性があるということだ。一つの例で言えば、岡山県は「新エネルギービジョン」を1年前に策定した。その中で、岡山県の場合は「晴れの国」でもあり、太陽光発電を飛躍的に伸ばしていきたいということを示した。それから小水力発電、100キロワット以下の小規模のマイクロ発電ともいわれるが、こういう水力発電を伸ばしていこうということも示した。メガソーラーは21カ所、小水力発電は28カ所の候補地をリストアップしてホームページにも載せている。


 3番目は木質バイオマス発電の利活用だ。これは岡山県北部で現に広がりつつあり、木質ペレットもどんどん製造されている。それから4番目は、電気自動車(EV)を伸ばしていく。こういった特性を踏まえた政策を岡山県は行っている。このように地域によってそれぞれ特性、優位性があるので、地方の声を尊重しながら自然エネルギーの政策を拡大していただきたいということを(国に)強く提言したい。


地方にとって、自然エネルギーについての議論が進む意義は。

 石井 地域においてそれぞれ特性のある自然エネルギーがある。それを伸ばすことによる地域への好影響は、例えば太陽光発電でいえば、投資そのものの経済波及効果がある。またメンテナンスをはじめ、関連する製品の販売をしたり、PRや広告をしたり、いろいろな関連企業にも大きな波及効果があると考える。それから、小水力発電太陽光発電などがより効率的な発電方法となるよう、それぞれの地域において、その地域にふさわしい研究開発が進んでいくだろう。たとえば木質バイオマスは、より効率的に発電するために森林産業と結び付いていくということがある。そういう面で、短期的に見ても中長期的に見ても、大きな経済波及効果が見込まれる。これが地域の経済にも非常に好影響を及ぼすだろう。


 地域の特性に合わせずに、あまりふさわしくないようなもの(自然エネルギー)を無理やり連れてきても、大きな効果は望めない。地域の皆さんが、どの自然エネルギーを選択して伸ばしていくかということを考えて、「自分たちのエリアにはメガソーラーがふさわしい」ということで進むケースもあれば、「木質バイオマスを増やしていって林業の活性化に結び付けていこう」というエリアもある。あるいは「農村地帯で小水力発電を農業水路に設置して、農業関係の電力を自分たちが地産地消で賄っていこうじゃないか」とか、地域ごとの構想がある。


 「エネルギーの地産地消」と言っては何だが、そこからもっと次の展望が開けるのは「スマートシティ構想」だ。スマートシティ構想は、住宅用の太陽光発電の設置を地域の皆さんが進め、そのエネルギーを電気自動車に蓄積し、たまった電気はいざ何かあった時に使うということもできる。スマートメーターで電力の発電量、蓄電量を目に見える形でチェックしながら、より節電効果の高い、地球温暖化対策にも資するようなスマートライフを目指していく。そうした自然エネルギーを活用した新しい町づくりを進めていければ、という思いも持っている。


 ―全国各地でメガソーラーの稼働が始まったり、候補地が挙げられたりしている。岡山県内の状況は。

 石井 (岡山県は)現在、21カ所の候補地をホームページで公表している。いずれもメガソーラーの候補地だ。1メガで300世帯分の電力供給を賄えるが、1メガから数メガ、10メガ以上の候補地ももちろんある。それに対して23の事業者が登録している状況だ。今後、再生エネルギー特別措置法の買い取り価格等が決定される。その数値が分かり次第、具体的な事業計画をそれぞれ事業者がつくり、土地の所有者に提案をする。候補地は県有地もあれば市町村有地、民有地もあるが、土地の所有者が提案の中から事業者を決定する。全国でもおそらく私ども岡山県が先鞭をつけた制度だと思うが、メガソーラーが設置された後、規模によって違うが最大1億円の補助金を県が交付することで、普及拡大を図っていきたい。岡山県は「晴れの国」であり、太陽光発電にふさわしく、以前から塩田も盛んな地域だ。塩田跡地は一日中太陽がさんさんと降り注ぐ地域にあり、一番、太陽光発電にふさわしい場所だと思う。こういったものも有効に活用できればと思っている。


 これが進んでいくかどうかには、電力会社の送電網との接続という課題がある。より近いところに送電網があればそこはスムーズに立地が進んでいくと考えている。そうでないところでは、電力会社と十分に協議して、県も間に立ち、事業者と電力会社が結び付くようにやっていきたい。


 ―候補地21カ所での立地が実現すれば、全国でもトップクラスの先進的な形となる。

 石井 そう思う。21カ所全部かどうかは分からないが、相当数のところは適地だと思っている。全部メガソーラーが立地したことを想定すると、全国でもメガソーラー先進県と言えるような立場に立てると思う。リストアップされていないところにもまだまだ候補地がある。具体的には(岡山県瀬戸内市の)錦海塩田跡地で現在、市が土地利用計画を検討中だ。その中に一定の割合で太陽光発電という構想もあるようにも聞いているので、大いに期待をしている。


 ―立地が進むためには国の議論が進んでほしい、という状況か。

 石井 そうだ。やることがすべて遅いのではないかと思う。与野党は議論を進めることに異論はないはずだ。それこそ良識の府として、お互いに国会の中でも前向きな議論をしてほしい。ある程度の買い取り価格、期間の数値が出れば事業者はすぐに事業計画や収支計画をつくれる。規制緩和なども含め、国の迅速な対応を強く望む。自然エネルギー協議会は(買い取り価格や期間を検討する)国の委員会の審議状況も踏まえ、積極的に提言要望活動をしたい。

 いしい・まさひろ 1945年生まれ。岡山市出身。東京大学法学部卒業後、1969年、建設省(現国土交通省)。文書課長、官房審議官を経て1996年に岡山県知事初当選。現在4期目。