東京新聞の言うとおりだ。

 2月25日社説より引用した。
 政府は会社員の厚生年金と公務員などの共済年金の一元化法案を、社会保障と税の一体改革関連法案から切り離すと決めた。重要な年金改革を先送りするとは、やはり一体改革ではなかった。
 厚生年金と共済年金の一元化法案を消費税増税の法案提出から遅らせるという。
 だが「社会保障の改革をするので消費税増税を」が政府の説明する一体改革だったはずだ。
 消費税増税の前に公務員人件費二割削減などやるべきことがあるが、必要な社会保障改革もせずに増税だけするのでは話が違う。
 年金制度は社会保障の大きな柱だ。しかも特権的に優遇されている共済年金を厚生年金と一つにすることは、公平な制度にする最も重要な改革である。それを小宮山洋子厚生労働相は「消費税増税と直接関係ない」とは理解に苦しむ。
 国家公務員、地方公務員、私立学校教職員の共済年金はその優遇ぶりが問題視されている。
 厚生に比べ、共済は保険料率が低いのに給付額が月約二万円増額される。定年後も働き続ける場合、双方の年金とも賃金に応じて減額されるが、共済はケースにより減額が少ない。
 夫を亡くした妻が受け取る遺族年金は、厚生だと妻限りだが、共済だと条件を満たせば他の家族に受給権が移る。
 一方、共済の財源には国や自治体から税が入っている。もとの軍人への恩給制度のなごりだ。こうした優遇の是正には、厚生との一元化が必要である。
 先送りの背景には、身を削られる官僚が抵抗しているという事情があるようだ。だが、この場面こそ政治主導の出番だろう。
 それができないのでは、民主党が掲げる年金の完全一元化などできるはずがない。
 非正規労働者の厚生年金と健康保険への加入拡大も先送りされそうだ。改革案は働く時間を「週二十時間以上」など規定を緩めて、将来三百七十万人を加入させる。
 ところがパートを多く雇用し保険料負担が増える流通・小売業界の反発ぶりを見て、民主党内から慎重論が出た。
 これまでも負担を求める改革案は党内の反対で後退してきた。
 政治主導を発揮せず、負担を求める議論から逃げる姿勢では、政権与党の責任放棄ではないか。
 社会保障改革は消費税率を上げる口実だったという一体改革の正体が見えたといっていい。