『国益』とは何か。

 どうして、これほどまでに米国にひれ伏さなきゃならないのか?米軍が日本を守っているから?
 旧ソ連の崩壊により、日本の仮想敵国は事実上「北朝鮮」のみとなった。中国はと問われれば、侵略の可能性はあるが、それはほとんどゼロに近いといえる。中国人民軍が海を超えて九州へ上陸したと仮定しても、その海軍力、補給能力、戦闘継続力、および国際世論の点から、戦争を継続させるパワーはないとみるのが妥当である。それよりも、独裁体制の北朝鮮の方が脅威である。軍事独裁の指導部が、自らの保身のためなら、ためらわず韓国へ進軍するだろうし、韓国の補給基地たる日本へ不正確なミサイルでも「数打てば当たる」式に打ち込んでくるだろう。特に、「福島第一原発」を参考に、日本海側に点在する原発群を破壊すれば、日本の息の根を止めることが出来るだろ。しかし、北朝鮮指導部はそれほど馬鹿じゃない。今は旧日本帝国のように、「四面楚歌」状態だが、唯一違うのは、陸続きで、中国とロシアという「友好国」をもっていることである。これは軍事上および心理的に大きい支えである。つまり、ブラフ的な威嚇行動は中国、北朝鮮から日本にあるが、本当に戦争を起こすかといえば「ない」と完全にいえるだろう。
 それよりも危険なのは、1945年以降の世界で最も、戦争が好きな国、米国なのだ。ベトナム戦争にフランスに代わり介入し、キューバーに侵攻し、グレナダへ侵攻、パナマへ侵攻、イラン・イラク戦争に介入し、湾岸戦争を引き起こし、イラクを蹂躙、アフガニスタンへも侵攻、と数え上げたらキリがないほど戦争を引き起こしている。第二次世界大戦後の戦争の多くに関わり、その全てとは言わないが、ほとんどは米国の利権追求(パナマ運河や中東の石油)であるか、腐敗した保守政権維持(南ベトナムやイラン)である。これらの戦争で、どれほど多くの市民が殺されたことだろう。米国もまた自国の若者を多数犠牲にし、ベトナム戦争湾岸戦争イラク戦争アフガニスタン戦争の後遺症で、米国社会は病んでいる。こうした多大な犠牲を支払ってでも戦争を行うのは、強大な軍事産業、軍隊、政治家という複合組織の力が背景にある。利権を追い続ける「怪物」は、米国が衰えつつあることに危機感を持っている。欧州、南米、アフリカにおける影響力を失い、中東では同盟国のイスラエルサウジアラビアのみで、アジアでは日本にしか巨大軍事基地がない中で、最重要の「沖縄」を手放す訳がない。
 それでも日本が米国に隷属するのは、あくまでも個人的考察ですが、沖縄の基地に「核兵器」が隠されているどころか本土の基地及び第7艦隊にも核が保持されているからではないか。核の傘を切り札に、米国が民主党共和党の政権だろうが、この日米間の「ブラックボックス」を突きつけているのではないか。

 それにしても、日本の外交は脆弱である。オバマ民主党政権を揺さぶるなら共和党にパイプがないといけないが、そんなものは見当たらない。米国と交渉するなら、中国やロシアカードが必要だろうがそんなものはない。TPP交渉でも、時には豪州やニュージランドとの共闘も考えなくてはいけない。この交渉に米国が日本を引きずり込もうとするのは、アジア・オセアニア地域で米国が利権を失うことの危惧であり、日本に「利権(農産物・医療・保険・郵便など)」があるからだろう。産業界は、強欲とまでは言わないが、自分の企業のことしか頭になく、このTPPで被害を被る人のことなぞ関係ないのである。また、マスコミも自らが「保護産業」である自覚がなく、自分たちは無事であると誤解している。交渉参加で、気がつけば、「ぺんぺん草」も生えないほどの荒廃した日本になっているかも。沖縄もTPPも国益とは、国民の利益であることを分かって交渉をしてほしい。



参考 沖縄タイムス11月14日社説 

 化けの皮がはがれる、とはこういうことなのだろうか。野田政権の「米国追従」が日増しに鮮明になっている。失望と危機感を抱かずにはいられない。
 野田佳彦首相は12日、オバマ米大統領と会談し、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針と、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価書を年内に提出することを報告した。
 オバマ政権から課されていた「宿題」をこなすと、今度は「さらなる進展を期待」され、それへの「確約」を繰り返す。これは到底、外交交渉といえるレベルではない。
 「こんな姑息(こそく)なまねまでして前原氏は沖縄でいったい何をしたいのか」。県民の多くがそう訝(いぶか)しんだに違いない。
 今月4日、民主党前原誠司政調会長が「極秘」に来県した。仲井真弘多知事との面談も取り沙汰され、真意を問う声が県内で高まっている。
 前原氏は当初、5日の来県を予定していたが、4日昼になって在京メディアに「沖縄行きを中止する」とわざわざ通知した上で、直後の夕刻に沖縄入りするという不可解な行動を取った。メディアや県民を欺く来県は、民主党県連の喜納昌吉代表代行が4日午後に搭乗した羽田発那覇行きの飛行機に、前原氏が同乗していたことから、あっけなく発覚した。党の「身内」から情報が漏れる脇の甘さは何ともお粗末である。前原氏はなぜ、TPPをめぐる党内論議の渦中に、県民の不審を買うリスクを負ってまで、「極秘来県」を敢行したのだろうか。 前原氏の行動は一見、知事への義理を重んじたように映る。が、その意識は沖縄を飛び越え、米国を向いている、と解した方が腑(ふ)に落ちる。
 元外交官の孫崎享氏は10日付の本紙文化面で、TPP論議普天間問題の既視感を指摘している。よく分からない「抑止力のために海兵隊は必要」との論理で日米合意に戻った普天間問題と同様、よく分からない「日本経済の活性化のためTPPに参加しなければならない」との論が展開されている、というのだ。米国基準のTPP参加を促す推進派は、鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外」方針に非難や冷笑を浴びせた「安保マフィア」と重なる。
 9月の日米首脳会談で、普天間問題の進展やTPP参加への努力を迫られた野田首相は、この「宿題」を果たすため、閣僚の「沖縄詣で」やTPP参加への見切り発車を決意したのではないか。
 多極化する時代に「対米外交がすべてに優先する」という凝り固まった価値観にとらわれていては選択を誤る。これからの時代を託す政治家の理念としては単層で危うい。
 県議会は、普天間飛行場辺野古移設に向けた環境影響評価書の年内提出について、政府に断念するよう求める意見書を14日の臨時議会に提案し、全会一致で採択される見通しだ。
 この動きを、ぜひとも県内の市町村議会に広げ、思考停止状態の中央政治家に県民の強い民意を突きつけておく必要がある。

参考 NHK

APECでTPP協議入り表明 11月14日 7時25分
 APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議は、日本時間の14日朝早くから経済連携などをテーマとした討議が行われ、野田総理大臣は各国の首脳を前に、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に向けて、関係国との協議に入る方針を表明しました。

 太平洋を囲む21の国と地域が参加するAPECの首脳会議は、日本時間の14日朝早くから開かれた最初のセッションで、アジア太平洋地域の「成長と雇用」、「経済連携」をテーマに討議が行われました。この中で、野田総理大臣は「TPPは、アジア太平洋地域の自由貿易圏構想の基礎の取り組みだと認識されている。日本は、この構想の実現に向けて、主導的な役割を果たしたい」と述べ、日本がTPPの交渉参加に向けて、関係国との協議に入る方針を表明しました。これに対して、出席した複数の首脳から歓迎の意向が示されました。また、野田総理大臣は、日本の成長戦略について「復興財源の確保に加えて、社会保障に関わる安定財源の確保に取り組みながら、成長の強化に取り組んでいきたい。日本は、少子高齢化や、震災を契機とした厳しいエネルギー制約に直面している、いわば『世界の課題先進国』なので、これらの課題を新たな成長の源泉としていくためのビジョンと戦略が必要だ。年内にも、『日本再生基本戦略』をまとめたい」と述べました。さらに、野田総理大臣は、ヨーロッパの信用不安について「金融システムの安定化を図り、政府債務問題の根本的な解決になるような信頼に足る枠組みを作ることが大切だ。アジア太平洋地域の経済に悪影響を及ぼさないよう、日本としても努力したい」と述べました。