なぜ マスコミ(毎日)が民主党代表選挙に介入するのか?


毎日新聞7月23日社説.

社説:小沢氏擁立論 民主党の勘違いに驚く
 「同時退場」してまだ3カ月足らずの鳩山由紀夫前首相と小沢一郎・前民主党幹事長を約160人の同党所属国会議員が取り囲み、「気合だ」の掛け声とともに歓声をあげる−−。19日、長野県軽井沢町にある鳩山氏の別荘で開かれた懇親会の光景をテレビ映像で見て、「この時期、一体何をやっているのか」と違和感を覚えた人は多いのではなかろうか。しかも、党内の一部では9月の党代表選に小沢氏の出馬を求める声が強まっているという。

 勘違いぶりに驚くほかない。

 与党の代表選は実質、首相を選ぶ選挙だ。言うまでもなく小沢氏の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件はまだ決着していない。小沢氏が強制的に起訴される可能性がある検察審査会の議決が今秋に控えている。首相に就任すれば野党は連日、この問題で攻め立てるだろう。果たしてこれまで一度も国会の場で事件の説明をしていない小沢氏が乗り切れるだろうか。国会は直ちに動かなくなる公算の方が大きい。

 民主党は野党時代、自民党の首相が次々代わるたびに「衆院を解散し、総選挙で信を問え」と要求してきた。わずか1年で鳩山前首相、菅直人首相の2人が交代するとなれば当然、解散するのが筋だが、「小沢首相」のもとで衆院選に臨む覚悟が民主党議員にあるようにも思えない。

 各種の世論調査では「小沢首相」には反対する声が大勢だ。その理由は、「古い体質」を象徴しているような政治とカネの問題だけではないだろう。小沢氏は菅首相が昨年の衆院選マニフェストを修正しようとしていることを批判しているようだが、そもそも「政権交代すれば、いくらでも財源は出てくる」と財源論をあいまいにしてきたのは小沢氏と鳩山氏である。民主党政権への失望は、既に「小鳩」体制時代に始まっていたことを、小沢氏を支持している議員たちはまるで忘れてしまっているようだ。

 党内の混乱をつくり出しているのは菅首相自身でもある。消費税増税問題をはじめ、これだけ内外に課題が山積しているというのに、党内の反発を恐れるばかりに、最近は自分は何をしたいのか、一向に明らかにしない状況が続いている。これでは求心力は失われる一方だろう。

 私たちは今度の代表選を党の政策と結束を固める場にするよう求めている。だが、相変わらず「反小沢対親小沢」の対立だけがエスカレートしている現状を見ると、それは望み薄だと言わざるを得ない。求められているのは党内の主導権争いではなく、政策を一歩でも二歩でも進めることだ。所属議員全員が少し頭を冷やしたらどうか。