宝塚ニュース


サンスポより引用

 宝塚歌劇団雪組のトップスター、水夏希(みず・なつき)さんの退団公演「ロジェ」「ロック・オン!」が7月26日、宝塚大劇場兵庫県宝塚市)で千秋楽を迎え、水さんは約6000人のファンに見送られて、宝塚音楽学校時代から20年間を過ごした本拠地を後にした。同公演ではほかに娘役トップスターの愛原実花(あいはら・みか)さん真波(まなみ)そらさん=第86期生、彩夏涼(さいか・りょう)さん=第88期生、紫友(しゆう)みれいさん=第88期生、悠月(ゆうづき)れなさん=第90期生、梓晴輝(あずさ・はるき)さん=第90期生、美乃(よしの)ほのかさん=第90期生、琉動真瑳(るどう・まさ)さん=第93期生、の計9人が退団する。

 この日は本公演終了後に退団者のための特別な演目であるサヨナラショーが行われ、大階段の中央に水さんが立ち、「エリザべート」(2007年大劇場)の「最後のダンス」を歌ってスタート。銀橋(ぎんきょう)に出て「愛と死の輪舞(ロンド)」を歌ったあと、思い出の「ロミオとジュリエット99」(1999年宝塚バウホール)から「世紀末の詩」〜「愛のテーマ」を歌い、踊った。

 水さんと愛原さんのデュエットは「ロシアン・ブルー」(2008年)から「別れの言葉」。「マリポーサの花」(同)の主題歌では水さんの歌にのせて、次期トップの音月桂(おとづき・けい)さんをはじめとする男役9人が踊った。「RIO DE BRAVO!!」(2009年)の「Carnaval de Rio!!」では水さんが客席からボンボンを振りながら登場し、客席も巻き込んで全員が歌い、踊ってにぎやかに。最後は「Carnevale睡夢」(2010年)から「灰の水曜日」を水が歌うと、客席はブルーのペンライトが揺れた。

 一方、愛原さんは公演中に父親の作家で劇作家でもあるつかこうへいさんを亡くしたが、休演することなく最後まで舞台をつとめた。黒紋つきに緑の袴(はかま)というタカラジェンヌ正装で大階段を降りた愛原さんは、「(ロジェの)『同じ時を二度と生きられないから、信じる道を行くしかないじゃない』というセリフが大好きです。巡り会えたすべて皆様に感謝します。水さんの相手役で幸せでした」と、かみしめるようにあいさつした。

 水さんは最後に、男役のシンボルでもある黒エンビ服姿で大階段を降りた。「ついにこのときがまいりました。ともに走ってくれた仲間たち、スタッフ、お客様がいたから、私はたくさんの夢を叶えることができました。精いっぱい、命を削るような毎日で、1ミリたりとも悔いはありません」と笑顔で話し、何度も何度もアンコールにこたえた。

 終演後の会見で水さんは、「黒エンビで大階段を降りるのがトップ男役としての夢だったんです。とにかくこの公演は一番ハードで、最後までつとめられるか不安だったぐらい。泣くまいと決めていましたが、お客様の拍手があまりにすごくて、2度ほどグッときました。広い広い大劇場が今日は狭く感じましたね」。退団後については「とにかく、東京公演の最後まで毎日のことしか考えられない。全力でがんばります」と話し、手形を披露した。

 サヨナラパレードで愛原さんは、ファンの声援を受けて涙を拭きながら歩いたが、白いBMWの前では笑顔で手を振った。水さんは黒のBMWで、珍しくオープンカーではなく、花やリボンの飾りもない。サヨナラショーの衣装もすべて黒と白のモノトーンで、飾らない水さんらしいシンプルさが印象的だった。

 東京公演は8月13日〜9月12日。その千秋楽が退団の日となる。


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