沖縄の気持ちを忘れることなく

 琉球新報より

 菅内閣の課題 外交・安保 対米依存脱し存在感示せ2010年6月14日
 菅直人首相は、米軍普天間飛行場の返還・移設問題で名護市辺野古崎に移設するとする日米合意と、「東アジア共同体」構想の将来的な実現を鳩山由紀夫前首相から引き継いだ。県内移設に回帰した普天間問題の混迷が災いし、鳩山前政権では外交・安保の諸課題に大きな前進がなかっただけに、菅政権にも厳しい目が注がれている。
 まず、沖縄の基地過重負担の根っこにある思いやり予算の是正を早急に求めたい。法的根拠に乏しいため、「思いやり」と名付けられて久しい在日米軍駐留経費の日本側負担は年間2千億円を超え、米軍が日本に居座る大きな要因となっている。

 民主党は、2011年春に特別協定が期限切れを迎える思いやり予算を見直して減額する方向性を打ち出している。にもかかわらず、岡田克也外相は、先の日米共同声明で思いやり予算を用いてグアムに再生可能エネルギー技術の導入を検討していることに対し、「既に(グアムでの)住宅(建設)は負担することになっている。特段おかしいことではない」と述べ、支出領域拡大を容認した。

 減額と相反する本末転倒の対応であり、環境への配慮を掲げることで米側の求めに応じた増額をかすませる狙いが明白だ。思いやり予算に切り込むことで、対米追従の流れを押しとどめるべきだ。
 アジア外交に目を転じてみよう。鳩山政権は東アジア共同体を掲げたが、実現に向けた具体的な外交は展開されず、掛け声倒れに終わった感は否めない。日本のアジア外交は、1977年の福田赳夫首相がアジア歴訪で「平和に徹し、軍事大国にならない」ことを表明して高く評価された「福田ドクトリン」以来、対東南アジアの基本原則が見えない状況が続き、日本の顔が見えないと批判されてきた。

 菅首相に対し、中国や韓国は過去の歴史認識を含めて好意的な反応を示している。対話に立脚した平和構築の努力を怠らず、構想具現化に向けた戦略やスケジュールを打ち出すことが求められる。

 今月25日からカナダで開かれる主要国首脳会議(サミット)は、菅首相の外交デビュー戦となる。所信表明演説で示した「現実主義外交」は軍事色が濃い対米関係優先に引きずられる要因となろう。これと一線を画した菅カラーを打ち出し、多面的、複眼的な外交で存在感を発揮してほしい。

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