劇評(宝塚歌劇支局より) 「Heat on Beat!」


 ショー「Heat on Beat!」は、瀬奈じゅんのサヨナラに書かれたものを霧矢、蒼乃のお披露目にアレンジしたもの。大きな変更は中詰めのラテンで、ゴールドの衣装の霧矢と純白のドレスの蒼乃が優雅にデュエットダンスを披露する。蒼乃は、ほかにも「ホットジャズ」の場面でのセクシーなダンスや、フィナーレには燕尾服姿の桐生園加、青樹、星条海斗、明日海とともに黒のドレスでタンゴの場面に紅一点で参加、霧矢ともからむシーンがあり、蒼乃のダンサーとしての資質が際だった。その踊りの大きさは男役にひけをとらない華やかさ。久々の踊れる娘役トップの登場といっていいだろう。

 霧矢は、豊かな歌唱力に加え、ボヘミアンの場面での裸足のダンスソロにも挑戦。シャープな動きで瀬奈とは違うショースターとしての魅力を発散させた。

 明日海は前公演の龍、霧矢の部分、青樹も霧矢と遼河はるひの部分に入ったが、フィナーレは明日海が霧矢に次ぐ2番手の扱いだった。ほかに娘役で愛風ゆめ、彩星りおんが抜擢された。

 「紫子」「Heat on Beat!」の2本を通して、霧矢と蒼乃の実力派コンビが絶妙のハーモニーをかもし、華やかな雰囲気も加わって順風満帆の船出になったといっていいだろう。