ときどき観た紅白

 NHKのホームページで順番を見て好きな歌手の出番時間を予想して時々みた紅白だった。

 朝日新聞より引用。

 60回記念だった昨年末の紅白歌合戦。長年の出演依頼に抜き打ち出演で応えたロック歌手・矢沢永吉、英国が生んだ「奇跡の歌手」スーザン・ボイル、はつらつとした若手にベテランの味わい……。視聴率は第2部で一昨年並みの40.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったが、テーマ「歌力」はどんな形で視聴者に伝わったのだろうか。

 「ええっ、永ちゃん!?」。放送残り1時間を切った頃、司会の中居正広が叫ぶと、画面は突然、NHKホールの楽屋口付近に切り替わった。楽屋口につながる通路にひしめく記者ら報道陣やスタッフらに、NHKから「通路を空けて」と声がかかる。まるで「花道」となった通路の真ん中を“永ちゃん”は悠然と歩き、舞台へ進んだ。永ちゃんの「初出場」は事前には公表されず、NHKは本番前日に「白組に特別出場歌手を登場させる」と発表しただけだった。

 もう1人の大物ゲスト、英国のオーディション番組で一躍スターダムにのし上がったスーザン・ボイルは「紅組応援歌手」として出演した。スーザンの発表も暮れも押し迫った25日。29日の来日以降、他メディアには露出せず、紅白リハーサルも報道陣をシャットアウトした。

 「永ちゃんが出ると分かっていたら紅白見たのに」という視聴者もおり、公表方法などに疑問の声もあるが、NHKは「あえて情報を伏せることで、効果的なインパクトを与えたかった」と演出の一環と話す。

 舞台上の華やかな演出に花を添えたのがジャニーズ事務所所属の出演者らだった。司会の中居が“永ちゃん”から「60回でしょ。出られて幸せ」とのコメントを引き出し、木村拓哉はスーザンをエスコート。中居、木村らのSMAPマイケル・ジャクソン追悼コーナーを任された。SMAPの弟分で昨年のヒットチャートを席巻した初出場の「嵐」は、他の歌手の応援に回ったり会場でファンサービスしたり。控室に戻らず、楽屋裏の廊下で常に待機していた姿が印象的だった。

 ベテラン勢も負けじと本領を発揮。小林幸子を模した「メガ幸子」の高さ8メートル、重さ3トンに会場から驚きの声が上がった。川中美幸北島三郎らの貫禄(かんろく)にもうならされた。福山雅治の長崎からの中継や絢香の休業前ラスト歌唱、人気子役・加藤清史郎らの「こども紅白歌合戦」と、区切りの紅白は話題も豊富だった。(松田史朗)