白羽ゆりさんロングインタビュー2

――ブログも、6月にスタートしたころは写真中心で短かったのが、だんだんと今の心境が長めにつづられるようになってきています。
 最初のころは、環境の変化についていくのにせいいっぱいでしたね。引っ越して、お部屋のなかもダンボールだらけで、ご挨拶状が1000枚以上あって。在団中にお世話になった方々へのご挨拶まわりもあって…宝塚時代の余韻が残った生活が、ほぼ1カ月半から2カ月近く続いたんです。
 そのなかでテレビドラマ出演のお話があったり、バラエティ「秘密のケンミンSHOW」のお話があったり、雑誌のお仕事をいただいたり。それは、新しいんだけど、どこか「卒業したて」という気分もありました。そのなかで、新たな生活の基盤をつくっていくというのが、なかなか大変で…。
 それで、最近やっと自分自身とゆっくり向き合えるようになってきました。8月にフランスに旅行をしたとき、人間として、ひとりの女性としての自分のこれからのこと、「宝塚の娘役」の私ではなくて、「白羽ゆり」として、あるいは本名の私として、これからどういう風に生活していきたいのかなということを考えたんです。
――まさにそれが、「まずは目の前のことに一生懸命取り組む。そして、女性として心身共に美しくありたい」と、ブログに書かれていたことですね。
 本当にそうなんです。今、じゅうぶんいろいろお休みをいただいて、楽しんでゆっくりしたので、そろそろ、前に向かっていく時期が来たのでしょう。「前に向かって進んでいくこと」と「ゆっくり楽しむこと」の両方のバランスが必要だなと、最近とくに思います。
――ブログには気になるワード、「恋愛」「結婚」についても考えたと書かれています。
 そうなんですよ。書いちゃいました! 「恋愛」や「結婚」って、私ぐらいの年齢の女性だったら、誰もが考えることですよね。だから、あえてそれを書きたかったというのが、じつはあったんです。ファンの方はドキッとされたかもしれませんが(笑)。でも、宝塚を卒業した今、ひとりの女性として、そういうことも考えるんだろうなと思っていただければ、と。
 ブログでは、あまりカッコつけ過ぎることなく、等身大の自分が思ったことお伝えしています。それを皆さんが共感してくださるのを感じるのが楽しいですね(笑)。
――白羽さんのなかで、「娘役」と「普通の女性」はどういう位置づけなんですか?
 違いますね。よく、宝塚の男役が演じるのは「理想の男性」だといわれますけど、私も娘役として、女性として理想を演じていきたいというのがすごくありました。だから、いつも華やかできれいでいたいし、ファンの方がどういうことを求めてらっしゃるのかを常に考えていました。相手役さんあっての娘役ということも、かなり強く意識していたと思います。
 ファンの方から「女性」として憧れられる役作りって本当に難しいと思うんです。女性として自分の人生をきちんと歩まれてる方の、さらに「夢の世界」でなければいけない。いっぽうで、とくに現代劇の場合は「そうよね」と共感していただける部分もなければいけない。いろいろ難しさはあったけれど、何より自分自身が娘役のファンだったので、がんばれたのだと思います。
 そんな風に理想を追い求めた宝塚時代から、今は、すぐ声をかけてもらえるような、ちょっと悩みを相談したくなるような女性でありたいと思うようになりました。
 私、お料理が好きなんですけど、たとえば、お料理とか、犬の散歩とか、ごく普通の生活を楽しんでいる女性でありたい。プラス、「いっしょうけんめいがんばっています」っていう部分も持っていたい。宝塚時代は、舞台で演じている役の影響ってやっぱり大きかったですから…とりわけ身近じゃない役が多かった分…今は、同じ女性として身近に共感していただけたらいいなと。歩いてたら、トントンって声をかけていただけるような感じでいられたらいいなと思います。