懲りない人


時事通信

 麻生太郎首相は2009年8月23日夜に都内で開かれた学生との対話集会の席上、「金がないなら結婚はしない方がいい」と発言した。これについて河村建夫官房長官は24日の記者会見で、「むしろ若者の就職対策を進めなくてはならないという思いが、表現として出たのではないか」と釈明した。
 首相は、男子学生から「お金が掛かるから結婚できず、少子化が進んでいるといわれているが」と質問されたのに対し、「金がないなら結婚はしないものだ。うかつにしない方がいい」と言及。「女性から見て、しっかり働いているのは尊敬の対象になる。稼ぎが全然なくて、尊敬の対象になるかというと、よほど何かがないと難しい」と答えた。


朝日

 麻生首相が2009年8月23日、東京都内で開かれた学生との対話集会で、参加者から「若者に結婚するだけのお金がないから結婚が進まず、少子化になるのではないか」と聞かれたのに対し、「金がねえなら結婚しない方がいい。うかつにそんなことしない方がいい。おれは金はない方じゃなかった。だけど結婚は遅かった。稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい」と語ったことに対し、24日、野党幹部から批判の声が相次いだ。

 民主党菅直人代表代行沖縄県沖縄市で「いま働こうと思っても仕事がない。そういう皆さんが考えてほしいと言った時に『金がないのに結婚するな』と言う。総理を続けてほしいと思う人は沖縄に一人もいないと思う」。共産党の志位委員長は長野市で「多くのワーキングプアをつくった責任を感じないのは政治家失格だ」。社民党の福島党首も同市で「非正規雇用が増えたのは政治のせい。自己責任にするのは政策を理解していない」と語った。


毎日

 「そりゃ金がねえなら結婚しない方がいい。うかつにそんなことはしない方がいい。金がおれはない方じゃなかったけど、結婚遅かったから」。麻生太郎首相は2009年8月23日夜、東京都内で開かれた学生主催の集会で、少子化問題に関連してこう述べた。学生から、若者に結婚資金がなく、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか、と質問されたのに答えたものだが、不況下で就職難の若者らの気持ちを逆なでする発言とも受け取れる。

 首相は「(金が)あるからする、ないからしない、というもんでもない。人それぞれだと思う」としながらも、「ある程度生活していけるものがないと、やっぱり自信がない。稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、なかなか難しいんじゃないか」と語った。

 首相の発言について河村建夫官房長官は8月24日の記者会見で「若者の就職対策を進めなきゃいかんという思いが表現として出たのではないか」と釈明した。【影山哲也】


内外タイムス

 衆院選(30日投開票)の公示以降、最初の日曜日にしてラストサンデーとなった8月23日、与野党各党首は午前中はテレビ討論番組にはしご出演し、午後は各地で街頭演説するハードスケジュールをこなした。麻生首相は「民主党300議席超」という大手メディアの選挙情勢調査にも強気の姿勢を崩さずにいるが、問題発言をぶちかました。学生主催の集会で“貧乏人は結婚するな”とやってしまったのである。

 問題発言が飛び出したのは23日夜、東京都台東区内の区立施設で開かれた学生主催イベント「ちょっと聞いていい会」でのこと。学生が首相にさまざまな質問をぶつけるスタイルで進行する中、少子化問題の根源に言及した男子学生がいた。

 「結婚資金がなかなか貯まらず婚期が遅れ、ひいては少子化を招いているのではないか。

 景気低迷に伴う非正規雇用問題などが深刻化する折、就職を控えた学生にとっては身近で切実なテーマといえる。
 ところが首相は「金がないなら結婚しないほうがいい」とズバリ。その根拠を「オレは金がないほうではなかったが、43歳で結婚した。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と経験則を踏まえて述べた。

 リアリティーある回答に会場に集まった約50人の学生は静まり返るしかなかった。通常、人生の先輩方は“若いのに金の心配をするな”とか“苦難を一緒に乗り越えてこそ夫婦”などと結婚に前向きな意見を述べるものだが、国のリーダーから“まず金を貯めろ”と言われては不安にならないほうがおかしい。
 さすがの首相もそんな空気を読み取り、「金があるから(結婚)する、ないからしないというものでもない。人それぞれだからうかつには言えないところ」とまとめた。
 祖父・吉田茂首相の側近だった池田勇人蔵相の“貧乏人は麦飯を食え”を想起させる発言だった。

 首相はこの日の街頭演説で格差拡大の「反省」と景気対策の「実績」を強調。「市場競争原理主義で、皆さんの生活にかなりのしわ寄せがいった。率直に反省し、政策をやり直さねばならない」と陳謝した。テレビ出演では「先週よりは今週、昨日よりは今日と手応えがだんだんよくなっている」とし、「1日、2日あれば全然変わる」と大逆転を予告した。
 一方、民主党鳩山由紀夫代表は「最後の最後まで気を抜けない」と楽観ムードを警戒。東京都荒川区の商店街では「社会保障をぶった切り、ハコモノ行政を優先する官僚任せの政治が、皆さんの生活を厳しくした」と与党批判を展開した。