太王四神記Ver.2 新人公演評

☆「宝塚歌劇支局」より。

 星組公演、幻想歌舞劇「太王四神記Ver.2ー新たなる王の旅立ち」(小池修一郎氏脚本、演出)新人公演(稲葉太地氏担当)が2009年7月14日、宝塚大劇場で行われた。

 前半の導入部分をカット、いきなり真風涼帆(まかぜ・すずほ 2006年入団)さん扮する成人したタムドクが登場する場面からスタート。あと二幕冒頭のコムル村の場面など3場面とフィナーレをカットしてあったが、中身は濃く約2時間あった。

 本公演は柚希礼音(ゆずき・れおん)さん、夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さんの新トップスターコンビ披露に雪組から編入してきた凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんが加わった若々しい新生星組トリオがパワフルな舞台を見せているが、新人公演も真風涼帆さん、蒼乃夕妃(あおの・ゆき 2004年入団)さん、そして麻央侑希(まお・ゆうき 2008年入団)さんという超フレッシュな組み合わせ。未熟だが若々しく、しかし勢いのある新人公演らしい新人公演となった。

 新人公演2度目の主演となった真風さんは、上背(身長175cm)があり、立ち姿も美しく、オープニングからもはやスターの風格さえにじみ出るほど。舞台度胸もよく、自信たっぷりの台詞回しと立ち居振る舞いが、それに拍車をかけた。演技や歌などまだまだ大味で課題は多いが、今の時点では華やかさがすべてを帳消しにする。これからの活躍がますます楽しみだ。

 その点、キハを演じた蒼乃夕妃さんはすでに2度新人公演のヒロインを演じ、バウ公演でのヒロインも経験していることからさすがに地に足が着いている感じ。キハの複雑な心理を分かりやすく見事に表現した。

 一方、ヨン・ホゲの麻央侑希さんは、久々の大抜擢。広岡達朗氏の孫娘ということで、音楽学校卒業時にマスコミで話題になったが、それとは関係なくその上背(身長175cm)とアイドル性豊かなスター性で早くから注目されていた。今回も本公演では騎馬隊やシウ部族などのアンサンブルの一人だがどこにいても一際目立つ。フィナーレのラインダンスは中央でスポットを独り占め。まさに将来の大器というにふさわしい。期待の若手だが、さすがにこの大役は演技、歌などすべての面でまだまだ未熟さが目立った。しかし、持って生まれたスター性は格別で、場数を踏むことによって彼女がこれから舞台人として成長していく姿を見られる楽しみは何ものにも代え難い。これぞ宝塚である。第2の天海祐希(あまみ・ゆうき)さんになれるか、それとも大和悠河(やまと・ゆうが)さんか。大事に育ててほしい。

 ほかに大長老(本役:涼紫央(すずみ・しお))さんを演じた天寿光希(てんじゅ・みつき 2005年入団)さんが、実力を発揮。真風さん、麻央さんといった若い2人をワキからサポートした。ヒョンゴ役(本役:英真なおき(えま・なおき 星組組長)さん)の壱城あずさ(いちじょう・あずさ 2003年入団)さんは二枚目から脱却、新境地を開拓した。

 ほかにもスジニ(本役:美弥るりか(みや・るりか)さん)に水瀬千秋(みずせ・ちあき 2007年入団)さん、サリャン(本役:夢乃聖夏(ゆめの・せいか)さん)の芹香斗亜(せりか・とあ 2007年入団)さん、チョロ(本役:真風涼帆さん)の十碧れいや(とあ・れいや 2007年入団)さんと若手が抜擢され、ハプニングもあったが、さわやかな息吹を感じさせた。本公演でスジニを好演している美弥るりか(2003年入団)さんが近衛隊の長、カクダン役で出演。かっこいい殺陣を披露していたのにも注目。