宝塚エリザべート−愛と死の輪舞 7度目


 産経新聞より引用 

 宝塚歌劇団月組公演「エリザべート−愛と死の輪舞(ロンド)」の制作発表会が2月9日、東京都千代田区東京会館で行われた。会見には、月組トップスターの瀬奈じゅん(せな・じゅん)さん(1992年入団 78期生)、宙(そら)組から特別出演する凪七瑠海(なぎな・るうみ)さん(2003年入団 89期生)らが出席。男役としての充実ぶりが目立つ瀬奈さんに、入団6年目の男役、凪七さんがどんなフレッシュなヒロインを演じるか注目される。
 「エリザべート」はオーストリア皇妃エリザベートの数奇な半生を描いた、1992年ウィーンで初演の人気ミュージカル。宝塚では、黄泉(よみ)の帝王トートを主役に置き換えた小池修一郎氏の潤色、演出が高く評価され、1996(平成8)年の初演以来、170万人を動員、代表作の一つとなっている。
 今回、トートを務める瀬奈さんはエリザベートは3回目の出演で、私自身、この作品に育てて頂いたといっても過言ではない」と作品への思い入れを語り、「トートは男役ならあこがれの役。過去に2役(エリザベートとルキーニ)をやったからにはやりたいと思っていた。私らしいトートを作りたいし、また今の月組にできる最高の『エリザべート』にしたい」とあいさつ。紫色のきらびやかな衣装に、赤い毛と編み込みが混じった銀髪の鬘(かつら)を合わせ、外見もこだわりを見せた。
  一方、もともと中性的な雰囲気を持つ男役の凪七さんは、エリザベートらしい凛(りん)とした立ち姿とソプラノを披露。今回の抜擢(ばってき)に、「お話を頂いた時は驚きと不安がたくさんでしたが、一度でいいから出てみたい作品だったので幸せです。先生や瀬奈さんに必死について頑張りたい。一本芯が通ったエリザベートを演じたい」と抱負を語った。
  7回目の上演について、小池氏は「内容的に変化があるわけではないが、今の瀬奈が率いる月組、凪七の若いエリザベートらとの共闘により、2009年版エリザベートが生まれるものと信じている。パッションを持った瀬奈が、どんな恋の煩悶(はんもん)を見せてくれるか」と期待を寄せ、凪七についても「月組でオーディションをしたが適任がおらず、宝塚全体の枠組みで考えて選んだ。歌の力、プロポーション、生命力などを考え、私も意外性のあるキャストの方がいいと思い、将来性にかけた。男役として完成していない分、娘役の音域がカバーできるのではないか」と話していた。(文:飯塚友子/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)


瀬奈じゅんさんのエリザベート
 2002年10月4日(金)〜11月18日(月)花組公演(宝塚大劇場)三井住友VISAミュージカル「エリザベート」−愛と死の輪舞(ロンド)−2003年1月2日(木)〜2月9日(日)花組公演(東京宝塚劇場)三井住友VISAミュージカル「エリザベート」−愛と死の輪舞(ロンド)− ルキーニ役

 解説 1992年の初演以来多くの人々を魅了し、センセーションを巻き起こしてきたウィーンミュージカル「エリザベート」。舞台は19世紀末のオーストリア・ハンガリー帝国。ヨーロッパ随一の美貌をうたわれ自由奔放に生きる皇后エリザベートと黄泉の帝王トート(死)が繰り広げる愛と苦悩をドラマチックに描く大作。今回は三井住友VISAカードをはじめ各社の協賛を得て、4度目の宝塚版「エリザベート」が実現。92年の初演以来多くの人々を魅了し、センセーションを巻き起こしてきたウィーンミュージトート役には歌唱力に磨きをかけた新トップスターの春野寿美礼さん(91年入団 77期生花組〜07年12月退団花組)、エリザベート役に大鳥れいさん(93年入団 79期生花組〜03年2月退団)が挑む。

2005年2月4日(金)〜3月21日(月)月組公演(宝塚大劇場)三井住友VISAミュージカル「エリザベート」−愛と死の輪舞(ロンド)−4月8日(金)〜5月22日(月)月組公演(東京宝塚劇場)三井住友VISAミュージカル「エリザベート」−愛と死の輪舞(ロンド)エリザベート

 解説 1992年にウィーンで初演されたミュージカル「エリザベート」のオリジナル脚本を、宝塚歌劇の公演形態に合わせてトート役を主役に置き、日本の観客に分かりやすく見直し、宝塚独自の装置、衣装、振付により、宝塚版として、1996年に雪組で初演し、大好評を得る。以来、星組(1996年)、宙組(1998年)、花組(2002年)と再演を重ね、総公演数459回、113万人の観客動員を数える、宝塚歌劇の歴史に残る作品となった『エリザベート』の3年ぶりの登場。

 今回の月組ではトート役にこの公演がサヨナラ公演となる月組主演男役・彩輝直(あやき・なお)さん(90年入団 76期生 月組星組〜専科〜月組 05年5月退団)が、エリザベート役には瀬奈じゅんさんが扮し、これまで多くのスターが名舞台を見せてきた同作品に挑戦する。
 19世紀末。ヨーロッパ随一の美貌を謳われた、オーストリア=ハンガリー帝国皇妃エリザベートが、イタリア人アナーキスト、ルイジ・ルキーニに殺害された。ルキーニは独房で自殺を図る。
 煉獄の裁判所では、犯罪行為から100年もたったにも拘わらず、暗殺者ルキーニを未だ尋問している。ルキーニは、エリザベートは死と恋仲だった、エリザベートが死を望んでいたと主張し、自分の行為を正当化する。そして、それを証明する為、エリザベートと同時代を生きた人々を霊廟から呼び起こす。最後にトート(死)が現れ、エリザベートを愛していたと告白する。時代は1853年に遡る。少女のエリザベートバイエルン王女として自由を満喫していた。ある時、彼女は綱渡りに挑戦しようとしてロープから落ち、意識不明の重体に陥る。冥界に迷い込んだエリザベートにトートは一目で惹きつけられる。トートはエリザベートに生命を返してやる。そしてその愛を得ようと、彼女を追い続ける決意をする。こうして、愛と死の輪舞が始まった……。

 
フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』より

 エリザベート(シシイ)(オーストリア皇后)  / トート(黄泉の帝王(死) エリザベートと禁断の恋に落ちる) /
フランツ・ヨーゼフ1世(オーストリア皇帝)  / ルイジ・ルキーニ(エリザベートを暗殺した男)  / ルドルフ皇太子(エリザベートの息子)  / ゾフィー(オーストリア太后、フランツ・ヨーゼフの母)  / エルマー・バチャニー(革命家)
 エルマーを含む三人のハンガリー革命家は日本初演雪組公演で誕生した。エルマーは日本初演の1996年当時、雪組に在籍していた元宙組トップスター和央ようかさんをはじめ、当時の若手男役のために作られた役。当時、日本で馴染みの薄かったオーストリアハンガリーの歴史を分かりやすく説明するためとも言われている。今でも帝劇版や宝塚版でも登場している。