クロアチアがドイツを撃破 「全てのチームに優勝の可能性がある。」

ドイツのヨアヒム・レブ監督は、6月12日にクラーゲンフルトで行われた一戦について、クロアチアは2-1の勝利にふさわしいと語ったが、チームには巻き返す力があると主張した。その点はクロアチアのスラベン・ビリッチ監督も同意見で、ドイツは引き続きUEFA EURO 2008(TM)における優勝候補だとした。また自身のチームのパフォーマンスについては、称賛の言葉を惜しまなかった。

クロアチアのスラベン・ビリッチ監督
素晴らしい試合だった。闘志を全面に押し出すだけでなく、素晴らしいサッカーを披露した選手たちを褒め称えたい。もちろんいいプレーをするよりドイツを倒す方が重要だ。彼らは偉大なチームで、引き続き優勝候補の一つであることに変わりはない。ドイツに主導権を与えないことを目指してプレーした。私にとってこの勝利は、ウェンブリーでイングランドを倒したときより も、大きな偉業と言える。現在のチームと私がプレーしていた1998年のチームの類似性について、いまだに聞かれることがあるが、私に言えるのは、同じクロアチア人であり、私たちはファンのためにプレーしているということだ。ただ、このような気持ちで戦っているのは私たち(現在のチーム)だけではない。それは1998年のチームも、現在のチームも同じだ。私たちは常に情熱的であり、それは変わらない。もし変わりたいと思ったとしても無理だろう。ベンチには私のように常に動き回るコーチがいることだしね。私はピッチのそばまで近づいてアドバイスを与え、試合に参加したいんだ。

 すでに敗退が決まったスイスを除き、全てのチームに優勝の可能性がある。現代サッカーでは、実力の差はほんのわずかしかない。ルカ・モドリッチについては、彼は大会が始まる前からスターだった。私は彼をヨーロッパ最高のプレーヤーだと言い続けてきたが、チーム内には他にも素晴らしい選手が揃っている。彼らは毎日のトレーニングや試合で、ワールドクラスであることを証明してくれている。

ドイツのヨアヒム・レブ監督
 言うまでもなく、私たちは試合に負けてがっかりしている。ゲームを振り返ってみれば、敗れて当然だったと思う。チームとして、クロアチアを脅かすだけの正確性もスピードも持っていなかった。コンビネーションもうまくいかなかったし、流れるようなプレーもできなかった。クロアチアは先制した後、自陣に下がってプレーしていたが、私たちは彼らの守備を突破できなかった。それが敗因だ。向こうがこちらの選手たちのリズムを崩しにかかってくることは分かっていた。試合前、クロアチアは中盤を厚くしてくるだろうと選手に話していたが、正にその通りになった。残念ながら私たちは、ロングボールやクロスを多用して、あまりに正直な攻撃をしてしまった。ここ数年は、勝ち続けてきたわけではなく、たくさんの敗戦も経験してきた。そしてチームはそのたびに挫折を乗り越えてきたし、今回も巻き返すことができると信じている。勝っていれば準々決勝進出に大きく近づいていたはずだった。だが、16日のオーストリア戦ではもっといいプレーができると信じている。

スポーツナビより引用。

 大方の予想は外れた。ヨーロッパ随一の実績を誇るドイツに、クロアチア果敢に挑み、苦手意識を植え付けることに成功した。1998年ワールドカップ・フランス大会から10年、今回はユーロ(欧州選手権)2008で、再びクロアチアがドイツの悪夢となった。

 クロアチアは、ダリヨ・スルナとイビツァ・オリッチのゴールで、優勝候補の一角ドイツに2−1で勝利。ドイツはルーカス・ポドルスキのゴール以外にはこれといった見どころがなく、ルカ・モドリッチニコ・コバチが織り成すクロアチアのパスサッカーに、自慢のフィジカルの強さを完全に封じ込められてしまった。

 試合はクロアチアが序盤から試合をコントロールするものの、両チームともゴールが遠い展開となる。だがクロアチアが初めて敵陣深くへと切り込むと、いきなり得点が生まれる。24分、クロアチアは左サイドのダニイェル・プラニッチファーサイドへとクロスを送ると、ドイツDFマルセル・ヤンゼンの前に体を入れながら飛び込んだスルナが右足で合わせ1−0と均衡を破る。すると、この一瞬の間に起きた出来事によりドイツが動揺を見せ、クロアチアニコ・クラニチャルが2度の決定機をつかむ。ここは何とかしのいだドイツだったが、攻撃面ではセットプレーでミロスラフ・クローゼマリオ・ゴメスの頭に合わせるくらいしか手がなく、反撃する間もなく前半が終了する。

 後半に入ると、ドイツはミヒャエル・バラックがチャンスも迎えるも、得点に至らず。バラックはこの試合で自分のプレーを全くさせてもらえず、これがチームに大きく響いた。そして、試合はクロアチア優勢という、前半同様の展開にあっという間に戻ると、クロアチアに追加点が生まれる。62分、右サイドのイバン・ラキティッチが鋭いクロスを入れると、DFに当たってコースが変わったボールがニアサイドへ。逆を突かれたレーマンが何とか反応するが、はじいたボールが左ポストに当たり、ゴール前のオリッチの足元へ。オリッチはこれを簡単に押し込み、クロアチアが2−0とリードを広げた。

 この失点により戦況が厳しくなったドイツだが、反撃しなければならないにもかかわらず、攻撃面での限界を露呈。それでも79分には、典型的なドイツの得点パターンからゴールを奪う。左サイドのラームが入れた右足のクロスを、ペナルティーエリア内のバラックがヘディングで落とすと、ボールはクロアチアDFに当たってこぼれ球に。これをルーカス・ポドルスキが左足の強烈なボレーでゴールに突き刺し、ドイツが2−1と1点差に詰め寄る。
 だが、この日のドイツには、同点に追いつくだけの力は無かった。試合終了直前には、バスティアン・シュバインシュタイガーイェルコ・レコを押し倒し、一発レッドで退場となるなど、ドイツは最後まで空回り。試合はそのまま2−1で終了した。