オランダの「オフサイド」?

 UEFAは6月10日、UEFA EURO 2008(TM)グループCのオランダ対イタリア戦でルート・ファン・ニステルローイが決めた先制点について、ゴールを有効とした上でペーター・フレイトフェルト主審の判定を支持した。

オフサイドは適用外
 6月9日に行われた試合はオランダが3-0でイタリアを下したが、ファン・ニステルローイの先制点はオフサイドではなかったのか、という指摘が各方面から寄せられた。デイビッド・テイラーUEFA事務局長は、10日午前に行われた記者会見で次のように説明した。「審判団が得点を認めたのは正当であった、とこの機会を利用して強調したい。一般のサッカーファンには分かりにくい部分もあった上、まれな状況だった。誤解が生じたのも理解できる。得点者の前には、イタリアのGKと選手が1人いたため、オフサイドではない。イタリアの選手はピッチの外に出ていたが、プレーに関与していると判断され、オフサイにはならなかった

プレーに関与
 テイラー事務局長は、今回の判定が『サッカー競技規則 第11条』に基づいていると話した。オフサイドを規定する同条では、ボールと守備側の最後方から2人目の選手より相手ゴールラインに近い位置をオフサイドポジションと定義している。テイラー事務局長は「守備側の選手2人が関与していれば、オフサイドにはならない。得点が決まった場面を振り返ると、守備側の1人目がGK、2人目がピッチ外に飛び出したDFになる。しかしDFは、試合に関与しているとみなされ、守備側の2人のうち1人とみなされた。この結果、ルート・ファン・ニステルローイは守備側の最後方から2人目の選手よりも相手ゴールラインに近い位置におらず、オフサイドにはならない」

珍しいケース
 「サッカー界で一般的には知られてないが、審判の間ではオフサイドの規定解釈として広く浸透している。こうしたケースは非常に珍しい。しかし、約1カ月前、スイス・スーパーリーグFCシオンFCバーゼル1893戦でも同様の場面があったと報告を受けた。今回(のゴール)は当初、オフサイドを見逃した審判の誤審と考えられていた。しかし、テレビの解説者も、規則が正しく適用されたことに気付かなかったと後で公に謝罪している

正当な適用
 「審判団はルールを正しく適用した、という点は明確にしておきたい。ピッチの外へ出した選手についての解釈を変えれば、守備側の選手は意図的にピッチの外へ出て、オフサイドをとる戦術も可能になる。これが認められないことは明らかだ。今回のケースで最も分かりやすく現実的なオフサイドの解釈は、世界各国の審判員が下す判定、つまり審判がピッチの外へ出ることを許可しない限り、選手はピッチ内にいるものとみなされ、プレーに関与し続けるということだ。こうした理由により、ピッチの外へ出ていたとはいえ、イタリアのDFは試合に参加中の選手と考えられる。従って、攻撃側の選手がゴールに入れたボールは、有効な得点になる。今回の判定では、正しくルールが適用された」