月組 UCC&シャディミュージカル『ME AND MY GIRL』

2008年3月21日(金)〜5月5日(月) 宝塚大劇場月組公演 Book and Lyrics by L.ARTHUR ROSE and DOUGLAS FURBER Music by NOEL GAY
Book revised by STEPHEN FRY Contributions to revisions by MIKE OCKRENT 作詞・脚本/L・アーサー・ローズ氏&ダグラス・ファーバー氏。 作曲/ノエル・ゲイ氏。 改訂/スティーブン・フライ氏。 改訂協力/マイク・オクレント。 脚色/小原弘稔氏。 脚色・演出/三木章雄氏。

主な配役  出演者
イリアム・スナイブスン(ビル) 瀬奈じゅんさん  サリー・スミス 彩乃かなみさん  パーチェスター 未沙のえるさん  マリア公爵夫人 出雲綾さん  ジャスパー卿 北嶋麻実さん  ヘザーセット 越乃リュウさん  ジョン卿 霧矢大夢さん  ディス夫人 花瀬みずかさん  バターズビー卿 一色瑠加さん  ジェラルド 遼河はるひさん  ブライトン氏 良基天音さん  警官 研ルイスさん  ランベスキング 桐生園加さん  ブラウン夫人 美鳳あやさん  ランベスクィーン 涼城まりなさん  チーフメイド 音姫すなおさん  ボブ 青樹泉さん  ワーシントン夫人 天野ほたるさん  ジャッキー 城咲あいさん・明日海りおさん  ソフィア・ブライトン 城咲あいさん・明日海りおさん  バターズビー夫人 憧花(とうか)ゆりのさん  メイ 羽桜しずくさん


 本日15時開演を観て来ました。SS3列ほぼセンターの席でしたが、ちょうど前の方が座高の高い方で・・・・・。瀬奈じゅんさんの軽妙な演技と身体・運動能力の良さには感心しました。この公演はキューピー㈱の貸切公演で、小休憩(しょうきゅうけい)=一回の公演の途中の休憩。二本立てなら芝居とショーの間、一本立てなら一幕と二幕の間。=に抽選があり、瀬奈じゅんさんと彩乃かなみさんの色紙(一応彩乃かなみさんのは持っています)はハズレ。次回の花組のS席カップル券は前の列の方が当たり、キューピーのドレッシング?があたりました。

 

 ↑左下の小さな写真は霧矢大夢さんです。

 さて、「ME AND MY GIRL」では第94期生の口上がありましたが、こちらも緊張しますね。この回は、麻尋しゅんさん(02年入団 第88期生 星組男役)の妹(双子)、夢花(ゆめはな)らんさんと風馬翔(ふうま・かける)さんと輝海(かがみ)せいやさんの3人。新入団員の初々しさがいいですね。それにしても超難関の宝塚に3姉妹とは驚きです。ちなみに双子のもう一人は夢羽美友(ゆめは・みゆ)さん。


スポニチ宝塚歌劇支局」より引用

 今回は13年ぶりの再演となったわけだが、ビルに瀬奈じゅんさん、サリーに彩乃かなみさんという新たなコンビはまさにうってつけ。バーチェスターに未沙のえるさん、マリア侯爵夫人に出雲綾さんという達者なベテランを配したことで2人が若々しくフレッシュに見えたことも功を奏している。

 瀬奈さんは、どちらかというと大ざっぱでかっこいいという役の方が似合い、ビルのような小手先の器用な青年は不得手のように見受けられるが、おおらかで明るい感じをうまくだして瀬奈さん独自のビルを作りあげている。

 彩乃さんも持ち前の歌のうまさで、サリーの揺れる心情を巧みに表現、サヨナラ公演にふさわしいこれまでの集大成をみせてくれた。
 第一幕3場の応接間でのタップダンスデュエットや2幕のランベスの街角から幻想シーンに発展するダンスデュエットなどいずれも魅力的だ。

 ジョン卿にまわった霧矢大夢さんは、ひげをたくわえたロマンスグレーといった感じだが、さすがの実力で出雲さんと互角にからみ、見応え十分。この作品が退団公演になったマリア役の出雲綾さんも品といい貫録といい、まさに有終の美といったできばえ。この時期の退団は本当に惜しい。

 バーチェスターの未沙さんは、初演以来、久々の当たり役再現。演技の呼吸、抜群の間は爆笑もので、もはや芸術的。ただ、初日はやや声がでていなかったように見受けられ、長丁場だけにちょっと心配だ。

 ジャッキー役は明日海りおさんと城咲あいさんのダブルキャストで、初日は大抜擢された注目の明日海さん。男役とは思えない可愛さでキュートそのもの。しかしビルを誘惑しながら歌う「あなたは私を夢中にさせる」のナンバーは大胆だが、決していやらしくならず上品にまとめ、歌も高音が自然で、役が身体になじんでいた。

 一方、ジェラルドの遼河はるひさんは、いかにもお金持ちのお坊ちゃんという感じのヌーボーとした感じがよくでていた。

 あとは越乃リュウさん扮する執事のヘザーセットくらいしか役がなく、青樹泉さんや龍真咲さんなど若手男役にはかわいそうな公演となった。冒頭のロンドンの街頭の場面や調理場の場面、ランベスウォークなど出演者が舞台からあふれんばかり、というのもなんだかおかしい。しかし、アンサンブルでも全員がハツラツと歌い踊っている様子がほほえましい。これが作品の力というものなのだろうか。

 フィナーレは、その青樹さん、龍さんに城咲さんの3人が銀橋で主題歌を披露、そのあと第94期初舞台生44人のラインダンス(ロケット)になり、霧矢さん、明日海さんコンビが「私の手を握って」を歌い、周囲で遼河さんはじめ8組の男女が踊るという趣向。続いて瀬奈さんが大階段に登場して「一度心臓を失ったら」を歌い、彩乃さんがせり上がってデュエットダンスに発展していく。

 初日は一幕ラストの「ランベスウォーク」(二階席にも初舞台生44人が登場して歌い踊る)から盛大な手拍子がわき、フィナーレが終わると総立ちの拍手。2度のカーテンコールという熱狂的な幕切れとなった。久々に舞台、客席ともホットな大劇場となった。(薮下哲司)