ハンドボール女子 韓国は強敵だけれど応援するぞ!

 これまでも対戦成績が圧倒的に悪いけど、実力以上の力を発揮して、たとえ負けても記憶に残る試合をしてください。

 追記30日 ミスが多かったが、全力でゴールをめざした姿は記憶に残った。 

中東に偏った審判の判定が原因でやり直されることになったハンドボール北京五輪女子アジア予選が29日、東京の代々木第1体育館で行われ、日本はアテネ五輪銀メダルの韓国に21―34で敗れ、8大会ぶりの五輪出場は持ち越しとなった。
 日本は3月末に開かれる世界最終予選(開催地未定)に五輪出場の望みをつなぐ。

「大差になってしまったけれど、フェアでいい試合だった」。韓国の元五輪代表で、日本リーグ広島メイプルレッズ監督兼選手の林五卿(イムオキョン)さん(36)は試合後、感無量の面持ちで話した。
 この試合、教え子の呉成玉(オソンオク)選手は韓国、植垣暁恵選手は日本代表として、コートに立った。
 林さんはバルセロナ五輪で金、アトランタ五輪で銀メダルを獲得したが、シドニー五輪は出産のために代表を辞退、母国はメダルを逃した。アテネ五輪でも一度は辞退したが、広島の協会関係者に育児に協力してもらって代表に復帰、銀メダルを獲得した。「広島の人たちは私の(五輪での)活躍をとても喜んでくれた。だから、私は日本と韓国の両方が大好き」と話す。
 長年、韓国と日本のすきま風に悩まされた。理由は、アジアの大会で吹かれる「中東の笛」だ。昨年8月のアジア予選では日本が30―29で韓国を制したが、植垣選手は「完璧(かんぺき)にフェアな笛ではなかった。日本に勝たせたいと感じた」と打ち明けた。林さんは、再試合に臨む植垣選手を「持っている力を精いっぱい出しなさい」とアドバイスして、コートに送り出した。
 「選手は、自分の力で勝ちたいのです。誰かに勝たせてもらってもうれしくない」。再予選で、林さんは通訳を買って出て運営を支えた。
 試合終了後、正々堂々と戦い切った日韓の教え子たちに、惜しみない拍手を送っていた。(下山田郁夫)

(2008年1月30日03時05分 読売新聞)