気になる生徒さんを発見しました 蓮城まことさん

 
 蓮城まこと(れんじょう・まこと)さんは宝塚歌劇団雪組の若手男役ホープ。89期生 身長170cm、大分県出身。愛称はきんぐ、ぴろこ。

2008年01月04日 アサヒ 大分版より引用

 宝塚歌劇団雪組の男役 蓮城まことさん

 昨年、テレビの歌番組に出演して、「すみれの花咲く頃」を歌っていたら、演奏をしていたオーケストラの中に、仲の良かった高校時代の友人がチェロを奏でているのに気づいて、すごくびっくりした。

 「お互い、頑張ってるみたいで、何かうれしいね」。番組収録後、再会を喜び合ううちに、大分での青春時代がよみがえってきて…。それぞれが、別の人生を歩みながら、頑張っているんだなって思ったら、不思議と新たな力がわいてきた。

 宝塚歌劇団月組別府市で公演した「エールの残照」の主人公シャムロック。華やかなステージで、天海祐希さんが演じる颯爽とした男役に、小学校4年生の少女は目を奪われた。「私も、いつか、あの舞台に立ちたい」。そう心に決めた。

エールの残照の動画

 幼い頃から、歌を歌うのが大好きで、福岡県の祖母の家に行くと、家庭用のカラオケセットのマイクを放さなかった。「人に聞いてもらうのが大好きだった。もともと目立ちたがりなんで

 宝塚音楽学校に入学できるのは毎年、40人ほど。狭き門を目指し、大分市の中学、高校では迷わず合唱部に入った。夏休み返上で練習を続け、みんなで一つのステージを作り上げる楽しさに没頭した。休みには友人たちとカラオケに行っては、SPEEDや椎名林檎の歌を熱唱した。

 思い返すと、いつも、そばに、歌があった。 バレエや声楽のレッスンも受け、高校2年の時に、念願の宝塚音楽学校に合格した。

 それから7年。1月から始まる雪組の公演では、期間中に1日だけ、入団7年目までの若手だけで上演する新人公演の主人公役に抜擢された。上流階級の青年とサーカス団の女性スターとの恋物語。通常はサーカス団員の一人を演じるが、新人公演では主人公の青年ジョルジュを演じる。

 大役を任され、今はその責任の重さをかみしめている。「舞台に立つのは自分との戦い。中途半端なものは見せられませんから」。宝塚で学んだ一番大きな収穫は、プロとしての意地と自負心かもしれない。

 「男役は、女性があこがれる男性の理想像を表現したもの。だから、普通の男性が演じても、宝塚の男役みたいにはならないと思う」。いかに「格好いい男性」になりきるかを、先輩たちの演技を見ながら、学ぶ日々を送っている。

 けいこ場以外でも、役作りが、どうしても頭から離れない。何げなく洋画を見ていても、「格好いい男性」のしぐさをつい研究してしまう自分がいる。最近は「パイレーツ・オブ・カリビアン」などに出演しているオーランド・ブルームがお気に入り。ジャニーズのタレントたちがテレビで見せる踊りやしぐさも、こっそり盗んでいる。

 今の自分は、キラキラ輝いているかな。小4の少女が、一瞬にして将来の夢を決めた時のように、見る人たちに夢やあこがれを与えているのかな―舞台の上でそう自問自答する。迷いながらも、自分を磨く日々が続く。

 不安やプレッシャーに押しつぶされそうになる時もある。鏡に映る落ち込んだ自分を見て、情けなくなる時もある。そんな時でも、自分を支え、励ましてくれるのは、天海祐希にあこがれた幼いころの自分と同じかも知れない、ファンからの声援だ。

 「舞台で輝いている」「キラキラしている」―そんな言葉でつづられているファンレターを読むと、すべてが吹っ切れるし、幸せな気持ちになれる。

 「自分が何より舞台で楽しみながら演じ、それをまた、多くの人たちが楽しんでくれることって、すばらしいじゃないですか」(野崎健太)

 蓮城まこと(れんじょう・まこと)さん
 大分市出身。県立芸術文化短大付属緑丘高(現・芸術緑丘高)を中退し、2001年、宝塚音楽学校に入学。2003年、宝塚歌劇団に入団し、「花の宝塚風土記」で初舞台。雪組に配属され、2006年、「ベルサイユのばら」の小公子役で注目を集めた。2008年1月22日の「君を愛してる―Je t’aime」新人公演では、ジョルジュ役で初主演する。