6月27日

(日本経済新聞6/26)中国首相「人民元改革、拙速に動かず」・ASEM財務相会合

 【天津=下田敏】中国の温家宝首相は26日に開かれたアジア欧州会議(ASEM)財務相会合で演説し、人民元は「独自の判断で時間をかけて改革する。拙速には動かない」と表明した。日米などは早期の改革を求めているが、準備にはなお時間が必要との考えを強調した。ASEM財務相会合は原油高騰への懸念など議長声明を採択し、閉幕した。

 温首相は人民元改革について(1)中国の独自判断(2)制御可能な対応(3)時間をかけて進める――という3原則を提示。「市場原則に基づき、柔軟に対応するが、改革にはなお多くの準備が必要だ」と語った。さらに「人民元改革の方法や時期は中国が自ら決定する」と述べ、早期の人民元改革を強く求める日米の動きをけん制した。

 温首相の演説に続く財務相会合では、各国が人民元改革などをめぐって討議。国際不均衡に深刻な懸念を示す意見が相次いだ。しかし、議長声明は「不均衡是正に各国が適切な措置を取る」という表現にとどまり、中国の意向が色濃く反映された。

人民元
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
 人民元(じんみんげん Renminbi RMB)は中華人民共和国の通貨。中国では通常人民幣(人民币)と呼ぶ。ISO 4217でのコードはCNY。
 単位は元(Yuan;正式には圆と表記する。圓、円に同じ。)、角、分で、1元=10角=100分になる。なお北京語では元を块(kuai;塊)、角を毛と置き換える事が多く、特に口語において顕著である。1994年までは、人民元とは別に、外貨に交換できる兌換元が発行されていた。また、香港特別行政区および澳門特別行政区においてはそれぞれ独自の通貨香港ドルおよびパタカが発行されている。人民元は中国の中央銀行である中国人民銀行が発行している。

 人民元100元札(1999年発行)

参考ブログ→「週刊!木村剛」さんのエントリー 児玉 卓(こだま たかし)さんの 2005.06.22[フィナンシャルi] 誰のための人民元改革?

 (中国の)「外国為替市場」とは、同国唯一の為替市場、外貨取引センターを指すが、そこでの月間出来高が中国の外貨準備の月間変動額とほぼパラレルに動いている。
 これは同国の為替市場が、市中銀行が企業等から受け入れた外貨を中央銀行である人民銀行に受け渡す場であること、言い換えれば政府が民間から外貨を吸い上げるための場であることを意味している。市場の参加者が極端に少なく、民間同士の売買は殆ど成立していない。買い手はほぼ専ら人民銀行である。人民銀行、従って、中国政府の価格支配力が圧倒的に強いということである。このような条件の下では、値幅制限を緩和しようが、変動相場制に移行しようが、レートが実際に動くかどうかは人民銀行次第となる他はない。(中略)
 一見すると中国は外圧等によって為替制度改革を迫られているかに見える。だが実際のところ、中国政府こそが改革の最大の受益者となり得るのである。