敵対的買収について

4月12日/日本経済新聞 朝刊より引用。 

敵対的買収の功罪は何か」シンポ・本社など開催
 非営利組織(NPO)法人の全国社外取締役ネットワークは日本経済新聞社と共催で11日、「敵対的買収の功罪は何か」と題するシンポジウムを東京・大手町の日経ホールで開いた。パネル討論でフジテレビジョンライブドアによるニッポン放送買収の是非や企業の買収・合併(M&A)のあり方を議論。敵対的買収では「企業価値の向上こそが最大の防衛策」との意見で一致した。

 討論には牛島信弁護士、大楠泰治クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券法人本部長、渡辺正太郎経済同友会副代表幹事らが参加、中谷巌多摩大学学長が司会を務めた。

 大楠氏は「今回の敵対的買収では買い手、買われる側ともにエラーが多かった。ライブドアは株式公開買い付け(TOB)をかけず、ニッポン放送株を(株価が)いくらまでなら買うのかを示さなかった。事前の準備が不足したためと考えられ、ライブドアの株主にとっては不親切だった」と指摘した。

 一方で「ニッポン放送も(同社株が上昇したのに)フジテレビジョンTOB価格の引き上げを求めないなど、買収のあるべき姿ではなかった。フジ株を貸株に出した件も、期間は5年間と長く、企業統治上大きな問題だ」と批判した。

 牛島氏は「今回の敵対的買収で(経営陣から)独立した取締役の存在がクローズアップされた。現行の経営陣と買収相手のどちらが企業価値を高められるのかの判断や、ポイズンピル(毒薬条項)など防衛策導入の判断についても、独立取締役の果たす役割は大きい」と述べた。

 渡辺氏は「企業価値の向上のために日本企業はM&Aを積極的に進めるべきだ。ただ、ライブドアは透明性を高めるために、TOBをかけるべきだった」と語った。